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小泉堯史監督、役所広司主演の「峠」 [映画・文学・音楽]

 22:00前に地震がありました。ちょうど風呂に入っていて、最近、筋肉が硬くなっているようなので湯船の中で脚を動かしていたら予想より波が大きいので、あれっ、と脚を止めても波があるので地震とわかりました。しかし、仮の話ですが、けっこう寒くなっているし入浴中にいきなり「緊急避難」なんて言われても慌てちゃいますなあ。(@_@;)

 昨日は、気象予報士全員切腹のような一昨日(雨は昼前にあがり午後は晴れなんて予報だったのに1日雨がパラつく)とは違い、青空が広がるいい天気でした。(^-^)

 小泉堯史監督、役所広司主演の映画「峠」を観た。
https://www.youtube.com/watch?v=PWndmixnlQw
 司馬遼太郎の原作は、ずいぶん昔に読んだのだが着々と合戦の準備を整えていくあたりは主人公・河井継之助の合理性が感じられておもしろいのだが、いざ戦いが始まるとあっという間に負けてしまって、なんじゃこりゃあといった印象が残っている。映画は、そのあたりをもう少し丁寧に描いているのだが、大筋で同じなのは仕方がないか。
 役所広司、松たか子、田中泯、東出昌大、榎木孝明、佐々木蔵之介、永山絢斗、山本學、吉岡秀隆、芳根京子、香川京子、そして仲代達矢と俳優陣は豪華。ただ、各人の見せ場があまりないのは、残念。小泉監督は「雨あがる」以来一貫してそうなのだが丁寧に撮っていてその点では文句はないのだが、どうもメリハリに欠けるのが残念。2時間を超える映画なのだから、どこかに「おおっ」と思わず膝を打ちたくなるようなシーンが欲しい。もっとも、原田眞人監督、岡田准一主演の「燃えよ剣」よりは出来がよく、退屈することはない。「るろうに剣心」のようなファンタジー時代劇こそヒットしたものの、きちんとした時代劇でしかもおもしろい映画となると、撮れる人が思い浮かばないので、小泉監督にはもう一段上を目指して頑張ってもらいたい。
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※先日、KSさんの作品からの流れで森田公一さん作曲の作品について書きましたが、
https://animalvoice.blog.ss-blog.jp/2022-11-10
 日本レコード大賞のときの動画がアップされているのを見つけました。最優秀歌唱賞を和田アキ子さんが受賞したわけですが、なぜか沢田研二を引っ張って舞台に上がっています。作詞の阿久悠とか作曲の森田公一と舞台に上がるのなら理解できるのですが、なぜジュリー? 改めて映像を見ると、後ろで森田公一が、どうしたもんだろうという複雑な表情(阿久悠は客席)、ジュリーはそれ以上に戸惑っています(@_@;)。
https://www.dailymotion.com/video/x57c4q
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作詞・阿久悠+作曲・森田公一 [映画・文学・音楽]

 古いパソコンの処理や、もう期限切れになっている書類の片付け・整理をやっていたら疲れました。先日の失態で背中が張っているというのに、腰のほうも・・・( >_< )。湿布を貼って、昨日は午後ずーっとごろごろしていました。今日は、そこそこ体調に問題がなければ整骨院に行ってこようと思っています。
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※整理で腰に疲れが溜まった感じがするので、昨日はともかく大事に大事に・・・。変なことをやろうとして悪化すると大変なので、一昨日の続きで森田公一とトップギャランの曲などのんびり聴いていました。不思議なことに、森田公一の曲などここ何年も聴いていなかったのに、KSさんの「萎んだ風船」からの連想で「青春時代」(彼が「道に迷っているばかり」のこの戯曲を書いたのは、まさに青春時代のことでした)なんとなく聴いたら次々と森田公一の曲が聴きたくなったのです。代表曲の「青春時代」はもちろん、「過ぎてしまえば」「人間はひとりのほうがいい」「下宿屋」などどれも名曲です。阿久悠の詩は、人生を川の流れのような上っ面に例えるようなものではなく(←個人の感想です)、もう一歩人生に踏み込んでいるところが何とも素晴らしい。阿久悠が作詞した曲には、「津軽海峡・冬景色」「UFO」「また逢う日まで」「時の過ぎゆくままに」「宇宙戦艦ヤマト」「北の宿から」「五番街のマリーへ」など書き出したら切りがないが、森田公一と組むときだけは、人生と向き合っていたような気がします。その意味でも、作詞・阿久悠+作曲・森田公一というのは、最強のコンビでしたなあ(^_^)y-~~~
https://www.youtube.com/watch?v=NoKI7wMvMb8
https://www.youtube.com/watch?v=rLHTotl0bO0

 阿久悠はともかく、森田公一といっても知らない人もいると思うので、彼が作曲したヒット曲をいくつか並べておきます。
アグネス・チャン「ひなげしの花」
https://www.youtube.com/watch?v=d1nJpDGh2js
天地真理「ひとりじゃないの」
岡田奈々「青春の坂道」
https://www.youtube.com/watch?v=Sq8xdlNzqKA
河島英五「時代おくれ」
https://www.youtube.com/watch?v=nTx3evyejIw
桜田淳子「夏にご用心」
森山良子「愛する人に歌わせないで」
https://www.youtube.com/watch?v=UxD5Fg6x2wU
和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」(作詞・阿久悠)
https://www.youtube.com/watch?v=juqtwiCKzCo
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『山波』201号届く [映画・文学・音楽]

 久しぶりに天気はいいのですが、ベランダに出てみるとけっこう寒いです。このところの秋を飛ばしての冬のせいで、体は悲鳴を上げていますので本日は整骨院に行ってきます。その後は喫煙喫茶店ジローというゴールデンコースで、ジローのママに『山波』を渡してきます(なぜか『山波』の愛読者なんです(^^;)。

 10/18の午前にwildさんが印刷所から発送した『山波』201号が、10/19の昼前にもう届きました(A5判122ページ)。ヤマトの宅急便です。いやあ、郵政でないと早いんですねえ。この差を考えると、日本郵政なんて民間ならとっくに潰れていますね。局ぐるみで国会議員送り出しに熱中し、ユーザー二の次、三の次にするんじゃねえよ(▼▼メ)。と、苦言を呈しておきます。私に関連する人には、会って手渡しするか、郵送するかしますので、今しばらくお待ちください。
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『山波』201号本日発送! [映画・文学・音楽]

 お待たせしました。本日、wildさんが印刷所に行って確認済みの皆様への発送を行います。お手元に届くまで今しばらくお待ちください。
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※それにしても風見鶏河野はいきなり保険証廃止とか、存在感、やってる感を示したいんだろうけど、本当にどうしようもない馬鹿だなあ。「聞く力」の首相は聞いても理解する力も語る力もないし、馬鹿と無能のどちらかを選べと言われても、困ったなあ。そうそう、馬鹿と言えば、日銀の黒田、馬鹿の一つ覚えなのかボケなのかとうとうゼロ金利の継続以外の言葉がしゃべれなくなったらしい。以前調べたら確か日銀総裁の年俸は3500万くらいだったはず。何もしなくてゼロ金利の継続と言っているだけで、これだけ入ってくるのだから笑いが止まらんだろうなあ。(▼▼メ)
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異色の戦争映画「太平洋奇跡の作戦キスカ」 [映画・文学・音楽]

 なんだかんだとあった8月も今日でおしまい。

 最近、wildさんとのやりとりの中で、「キスカ」が話題になったので、久しぶりに手持ちの映画を見てみた。ちょっとのつもりが、なかなかよくできているのでつい最後まで見てしまった。この「キスカ」に関しては、かってブログにも感想を書いたことがあるので、再録しておこう。
https://www.youtube.com/watch?v=pKRzYvoVR8I
 どうでもいいことだが、以前から「キスカマーチ」と呼ばれる主題曲の一部がなんとなくアニメ「鉄腕アトム」の曲と似ているのでもしかしたら同じ人の作曲?と思って調べてみたら違っていた。「エヴァンゲリオン」の曲が「007ロシアから愛をこめて」の「レクター奪取」の曲に似ていたり、こちらの下衆の勘ぐりかなぁ?

↓以下、再録。
 ひところ東宝が毎年「8.15」シリーズを作っていた(「日本のいちばん長い日」「沖縄決戦」など)の1965年度作品で、私は名古屋の名宝劇場で見た。もう半世紀も前のことだ。そんな映画を久々に見てみた。
 アッツ島の玉砕の後、キスカ島守備隊も玉砕を待つしかなかったが、北方担当川島中将(山村聡。貫禄十分)の説得により、5千余名の救出を敢行する。その責任者が大村少将で、三船敏郎はこういう役をやらせるとうまいなあ。稲葉義男、藤田進、佐藤允、軍令部総長の志村喬や作戦部長の西村晃など、現実の戦争を知っている連中だけに違和感はない(初代ウルトラマンの黒部進やイデ隊員の二瓶正也も出ているので見る機会があったら探してもらいたい)。 
 なかなかよくできた特撮と合わせ、この時代には珍しく白黒映画なのでリアリティも十分。普通の常識なら、戦況が悪くなったら撤退というのは、ある意味当たり前に思えるのだが、それを許さない状況が当時の日本軍にはあったのだろう(「戦陣訓」には「生きて虜囚の辱を受けず」なんてあるからねー)。
 「ナバロンの要塞」という映画を見たとき、ナバロン島の大砲は崖をくり抜いた中にあるので空爆がきかない、破壊するには爆弾を抱いた飛行機で突っ込むしかない。そんなことはできないのだから特殊部隊を送り込むという設定そのものが、日本では成り立たないと思ったものだ。
 捕虜になって敵の辱めを受けるくらいなら、自決せよなんて(戦争やりたい坊ちゃんの安倍独裁者あたり、自分は安全な所にいて言いそうな言葉だ)、軍はもちろん日本全体も(少数の例外はあるにせよ)狂っていたんだろう。そんな中での救出・撤退作戦は「奇跡」と言うしかないのかもしれないが、やはりこれが「奇跡」と言われる世相はおかしい。もう少し突っ込んで考えてみると、そもそも捕虜を恥と考えなければ危険を犯しての救出を待つか玉砕かという二者択一ではなく、降伏すればいいだけの話ではないか、ともいえなくはないのだ。
 天皇陛下からいただいた鉄砲を大切にせよ、なんてシーンをさんざん映画で見慣れてきた人間にとっては、(史実はどうあれ)救助艦に乗り込むときの「鉄砲を捨てろー」という「命令」は、なんとも清々しく聞こえた。
 それにしても、アッツ島の玉砕の後、キスカを撤退したのが昭和18年7月29日と出たのは、戦後生まれの私には、ある意味驚きだった。終戦の2年も前のことではないか。それでいて、この惨状だ。ミッドウエイ以降多くの島で何万人何千人という死者を出して、軍部はまだ反撃できると考えていたのだろうか?
 映画そのものに関していえば、一旦出航してキスカを目前に引き返したりすると話がだれるものだが、なかなかうまく練られたシナリオで飽きることはない。三船以下の俳優の演技も見事。映像的には、海岸に並ぶ兵士の列も悪くはないが、なんといっても海を見ている犬の向こうの霧の中に軍艦がふわっと幻のように現れるシーンが出色の素晴らしさである。千人は集めたかと思われる脱出シーンにしても、昨今のCGのものとはひと味違ったリアルさがあって素晴らしい。先の戦争に関しては様々な評価があると思うが、そうした政治的評価を抜きにしてこの映画は十分に合格点を与えられると思う。
 ところで、私の朧げな記憶ではラスト近く、アメリカ艦隊が無人のキスカ島に向かって一斉射撃をするシーンがあって、劇場では拍手が起きたと思うのだが、今回見たバージョンではラストに字幕が出るだけそのシーンが全くない。ううむ・・・私の記憶違いか(最近ボケているのでその可能性は大いにある)、字幕を読んでのイメージが焼き付いていたのか、それとも別バージョンがあったのだろうか?
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 故KSさんも、こんな感想を寄せてくれています(以下、原文ママ)。
  戦争映画は色々あるようです。大体が、「人間の条件」のような無慈悲な軍人上司がいて、おとなしい一般兵卒を虐待するのが定番で、それが実態だったんだろうと思っていました。昔観た映画(名前は忘れました)も総てそのたぐいでした。
 今回観た、「太平洋奇跡の作戦キスカ」は素晴らしかった。こんなことが有ったんだ、と。軍隊の兵士は全て駒であって、弾が切れれば銃剣で突進。人間の命など虫けらのように思っていた軍隊幹部連中。人間は全く非情なる動物だとも思っていました。戦争でなくとも現在でもそういう人間は多くいますが。
 ところが、このキスカは5200名の玉砕寸前の兵士を救うために、必死で海軍上司を説得し、みごと救出に成功した。キスカにいた兵士も上司も皆命を大切に思う人ばかり。こんな軍隊って有ったのですね。
 海軍はそういう軍隊だったのかもしれません。陸軍はひどかったんでしょう。親父はビルマ方面に海軍として出兵していました。あまり戦争の話はしたがらなかったのですが、今回のキスカの海軍兵のような感じじゃあなかったのかなと思っています。原住民と仲よく暮らしていたというようなことを、ちらっと言っていたことを思い出します。三船敏郎はいいですねえ。
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水木しげる生誕100年 [映画・文学・音楽]

 最近、NHKでやたら水木しげるの番組をやると思ったら、生誕100年だったんですね。水木しげるに関しては、亡くなったとき、こんな追悼ブログを書いています。
https://animalvoice.blog.ss-blog.jp/2015-12-02
 「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」など水木しげるのまんが(やアニメ)は、貸本時代の元本をリメイクしたものがほとんどで、いわゆる「対決物」。水木独特の死生観などは薄まってしまって、私は全く買っていません。水木もダメになったなあなんて決めつけていたら、「総員玉砕せよ」「昭和史」など描いてしまうのですから、やはり只者ではありません。元本は文庫などで今でも出ているはずですから、(元本であることを確認して)ぜひ読んでもらいたいと、お薦めです。
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 ※ちなみに、私の好きなまんがは、だいたい手塚治虫(代表作「0マン」「ブラックジャック」)、白土三平(「忍者武芸帖」「風魔忍風伝」)とこの水木しげる(「河童の三平」「墓場鬼太郎」)のものです。最近のものは読んでいないので、わかりません。(^^;
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一発屋ジョン・ミリアス奇跡の1本\(^_^)/ [映画・文学・音楽]

 8月も終わりにさしかかったのだが、なんとなく体がだるく『山波』の原稿を書く気もしないので、季節に合った「ビッグ・ウエンズデー」をまたまた見てしまった。
 ジョン・ミリアスといえば、「デリンジャー」「風とライオン」「コナン・ザ・グレート」など駄作を連発したアメリカの監督。最近というか21世紀になってから全く消息をきかないのでついに監督失格の烙印を押されたのか、はたまた亡くなったのか? そんな才能のない監督がただ1作「ビッグ・ウェンズデー」のような奇跡の傑作を作ったのだ。「ビッグ・ウェンズデー」については、以前こんな雑文を書いている。
「桑田啓佑が『稲村ジェーン』などという駄作を作ったが、あれはこの映画のパクリである。監督のジョン・ミリアスは『コナン』にしろ『レッド・ドーン』にしろ何を撮ってもヘタだが、自分の半生とオーバーラップさせて作ったこの映画だけは奇跡的な名作となった。といっても、どういう映画なんだ、ときかれると答えるのが難しい。サーフィンが縦糸になっていることは事実なのだが、だからといってサーフィン映画と言ってしまうとちょっと違うような気がする。オールディーズの曲がかかるが、ルーカスの『アメリカン・グラフティー』のような映画とも違う。途中ベトナム戦争の問題が出てくるが、一時流行った反戦映画でもない。そもそも反共のミリアスがベトナム戦争反対なんていう映画を撮るはずがないのである(にもかかわらず戦死した友だちの墓地を訪れるシーンはとてもいい。こういうところが映画のおもしろいところだ)。
 要するにサーフィンを縦糸にした青春と友情の物語なのだが、こんな説明ではどういう映画なのかさっはりわからないと思う。三流の監督なので、構成も随分破綻している。それでも、この映画には熱い心が感じられるのが、すばらしい。何かに立ち向かっていく熱い心情がこの映画のすべてと言ってもいい。今では破産して浮浪者になっている元サーファーショップの親父と主演のジャン・マイケル・ビンセントとの夜の暗いシーンから一転、時を超えての仲間との再会、ショップの親父が作ってくれたサーフボードを使っての大波への挑戦と続くラスト20分は、つい目頭が熱くなるほどの素晴らしい出来である。今でこそ、『あの映画はよかった』と言う評論家もいるが、公開当時はほとんど話題にもならず、私が見た映画の中では閑散としていた『ブレードランナー』以上に映画館はがらがらだった。」
 機会があったので、『山波』199号にもこんなことを書いている。
「マット、ジャック、リロイの3人のサーフィンを通じての友情物語。なんて書くと、全然観る気になれない。そのせいもあったのか、閑古鳥すらいないほど劇場はがらがらだった。しかし、これは凡作専門監督ジョン・ミリアス奇跡の一本だった。若いころいっしょにバカをやって、だんだん大人になって別れて、大波が来たとき浜へ行くと再び再会してという、再会シーンには思わず胸が熱くなる。仲間たちとのたまり場だったサーフボード店をやっていて今は浮浪者のベアーがかつて大波用に作ったサーフボードを使ってのマットのサーフィンシーンの実写は迫力満点。波乗りが終わった後、マット(ジャン・マイケル・ヴィンセント)がサーフボードを拾い持って来た若者に「やるよ。今度大波が来たとき、これで乗れ」と渡すシーン、いいねえ。座布団一枚。」
 うまい映画ではない。いや、むしろ下手な素人映画と言ってもいい。脚本は大きくよれているし、きちんと描かれているのは数人に過ぎない。サーフィンのアドバイスを受けたと思われるロペスの使い方にしても、何で出て来るのといった感じで、ロペスとビンセント以下の3人との対比もほとんど意味がない。それでもラストには思わず感動してしまうのである。
 いい脚本からいい映画が生まれることはあるが、悪い脚本からいい映画は絶対に生まれない。とは、黒澤明監督の名言だが、ほとんど唯一の例外のようにこの傑作が作られたのだ。紛れもなく奇跡の傑作といっていい。監督の才能が全くない駄作連発のミリアスにどうしてこんな傑作が撮れてしまったのだろう?
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豪華俳優共演ドラマ(^-^) [映画・文学・音楽]

 多分、マニュアルにはそう書いてあるのだろう。昨日、昼飯は適当にと考えてお子様と近くのファミリーマートに買い出しに行った。お子様は冷やし担々麺、私は冷やし中華。レジに持って行って「持ち帰りでーす」と差し出すと、レジのおばさん「温めますか?」。おいおい、冷やし担々麺とか冷やし中華を温めろなんて言う客いるはずないだろうが。マニュアルそのままじゃなくて、少しは自分の頭で考えてから訊いたらどうか。このままだと今にボケるぞ。という、ボケ老人からの忠告ですだ。(@_@;)

 テレビで綾野剛主演の「オールドルーキー」というドラマが始まるのに関連してのことだろう、ネットに「コウノドリ」というドラマがアップされていたので、暇潰しに見てみた。綾野剛、星野源が産科医のW主演ドラマでテレビ放送時2、3度見た記憶がある。もう5年以上前の放送だと思うのだが、今見ると俳優陣の豪華さに驚く。
 私が見たのは第1話だが、綾野剛、星野源、松岡芙優、吉田羊、坂口健太郎、清野菜名、要潤、清水富美加(ナントカいう宗教に逝っちゃった人ネ)、小栗旬、江口のりこ、大森南朋・・・
 ストーリー自体は、まあこんなものかという程度のものなのだが、俳優陣は、このころは無名だったがその後人気が出たという人たちでもない(星野が「逃げ恥」でブレイクするのはこの後だが、このころもすでに人気があった)。器械設備などもきちんと作ってあり、最近の安手ドラマとは雲泥の差なので「資料的」価値はあるのかもしれない。いずれにしても、今ではもうこのメンバー全員集めるのは無理だね。
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※さて、今日はまず整骨院。その後、喫煙喫茶店ジローでリス太郎さんとの打ち合わせがある。詳細はわからないが、たいてい疲れる話が多いので、時節柄気をつけよう。(^^;
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ティーバーでドラマ「つま見」(^^; [映画・文学・音楽]

 昨日は、予告通り整骨院に行ってマッサージを受けてきました。腰から背中にかけての痛みは、足の付け根にも原因があるということで、仰向けになってのストレッチと指圧。イテテテ( >_< )。それでも院を出るときには、ずいぶんと体が軽くなったような「気」が。問題は、この状態が長くは続かないということで、買い求めた湿布(市販の物と比べて何よりも貼ったとき冷たくないのがいい)を貼って寝ました。(^-^)

 ティーバーでいくつかドラマを見た。4月期ドラマがそろそろ完結するので、その感想を。ただし、1話しか見ていないものや途中脱落のものも多いので、あくまで個人の感想ということで(開始五分で止めたものもある。あくまで個人の忘備録なので、参考にしないように)。朝ドラと大河は、今回も一度も見ていない。
 あいもかわらずの刑事・裁判物では、綾瀬+大泉「元彼の遺言状」。もともとの設定がアホらしくコメディ要素もうまく機能していない。綾瀬・大泉の無駄遣いなんて言われているようだが、いったい視聴者に何を伝えたいのか不明で視聴率1桁も頷けるぽんこつぶりだ。「インビジブル」は高橋一生がなかなかいいのだが(この人、「天国と地獄」「岸部露伴」とこのところ快調)話がぐだぐだで、1話まるっと見る気にならない。ディーン・伍代様・フジオカ主演の「パンドラの果実」は、天才科学者とされる岸井ゆきのさんが全く生かされていない。ユースケ・サンタマリアがせっかくいい味出しているのに、ぽんこつシナリオが総てを台無しにしていて、惜しい。というわけで、私が見た3本は、揃って不合格。評判のいい「マイファミリー」は、日曜夜は何かと忙しいので去年の「MER」以来見ていない。
 星新一のショート・ショートを15分のドラマにした「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」は、おもしろいところに目をつけたのだが、作品によって出来不出来が激しい。山P主演の「正直不動産」は、口八丁で噓も平気でつく不動産屋の社員山Pが地鎮祭のとき隅っこにあった小さな祠を壊してしまったら、正直なことを言ってしまうようになり、というドラマ。これも目のつけどころおもしろく、福原遙さんとのコンビもいいのだが、このワンアイデアだけで10回引っ張るのは苦しい。福原さんといえば反町課長との「今どきの若いモンは」は、10分エピソードを3本で30分というドラマ。さらっと見られるので、暇潰しには悪くない。福原(働いてるなあ)、反町ともに好演。
 「悪女(わる)」は、石田ひかりさん主演のドラマのリメイクだということなのだが、今田美桜さん元気いっぱいで、あり得ない話なのだがまんがとして見れば暇潰しにはなる。今田さんは、大昔の植木等の「軽さ」に通じる動きがなかなかよい。上野+松重の「持続可能な恋ですか?」は、おもしろい設定だと思うのだが、火曜の夜10時という時間からリアルタイムではどうも見られない。ティーバーで見るにしても、1話完結ではないのが辛い。
 今やオスカーを支えて働いている小芝風花「妖怪シェアハウス」は、あいもかわらぬドタバタで退屈する。小芝は「あさが来た「そろばん侍」「特撮ガガガ」「パラレル東京」とNHKのものはおもしろいのだが、民放のドラマはどれもダメだねえ。映画化されたようだが、こんなもの金を払ってまで行く人いるのだろうか?
 1話2話はおもしろかったのに、どんどんダメになっていったのが「メンタル強いめ美女・白川さん」。とくに最新回は、ひどかった。白川さんがクライアントからあずかった資料を彼女に嫉妬している女が盗んでしまう。皆で一生懸命探すのだが見つからない。そこへクライアントから「以前の資料を間違って渡してしまった。新しい資料を送るので前のは破棄して欲しい」と連絡が入る。わーよかった、助かったということになるのだが、ちょっと待て。だからといって嫉妬女の行為が不問になるものではないだろう。業務妨害(実際、探している間の全員の業務は止まっている)であり窃盗でもある彼女の行為は、まちがいなく懲戒処分ものである。そのあたりをきちんと整理していないドラマはゴミにもならない。
 電力不足だなんだのといわれている昨今、こういうクソドラマを流している時間帯テレビ局は無駄遣い電波を止めたらどうか。
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『山波』200号頒布中\(^_^)/ [映画・文学・音楽]

 私の関係分は、昨日、wildさんから教えていただいたスマートレターで発送しました。残りは直接会ったときに渡そうと思っています。とりあえず、今日は、時間があったら喫煙喫茶ジローのママに手渡してこようかと。
(昨日のブログを誤解して、アニマルブログがなくなるんだって、なんてメールをくれた人がいました。今までより多少簡略化され、毎日更新ということはなくなるかもしれませんが、負担にならない程度には発信していくつもりですので、ご安心を(^^;)

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『山波』200号頒布開始\(^_^)/ [映画・文学・音楽]

 『山波』200号、出来上がりました!\(^_^)/
 6/13wildさんが印刷所に行き、発送手続を完了しました(お疲れ様です)。すでに申し込んでいる方は、一両日お待ちください。

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※部数に限りがありますので、まだの方は上写真のアドレスまでお問い合わせください。
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『山波』200号宣伝 [映画・文学・音楽]

 突然、暑くなったり寒くなったり日によって10℃近くも気温差があると、すべてが鈍くなっている年寄りはついていけません。加えて、この週末は天気も崩れるようですし、いよいよ梅雨入りなのかなあ? 季節の変わり目とか雨、台風などのときは、15年も前のがんの手術痕がときどきピリッとしたり、腰や膝が痛かったりするんだよね。いやはや・・・。
( >_< )( >_< )( >_< )( >_< )( >_< )

 『山波』200号の原稿はすべて印刷所に入れました(^_-)-☆。
 あとは出来上がりを待つだけです。例月(60-100ページ)と比べ「記念号」なので大幅にページ数が増えたため(総170ページ)、頒布価格(予価1000円、税・送料込み)>>>原価(T_T)。数が出れば出ただけ赤字になっちゃうんですが(^^;、ま、代表の「方針」なので仕方ないですね。と、ヤケクソの宣伝です。
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 巻頭の越智さん「わんにゃん物語」傑作です。旅立たれたKSさんの遺稿やリス太郎さんの落語、水石や翻訳、旅、祭り、家族などに関するエッセー、小説、詩など盛りだくさん。200号特集として、これまでの『山波』の歴史を振り返る記事もあります。部数に限りがありますので、なくなり次第頒布終了です。やはり、ここは記念の意味も込めて、いっちょーいっときましょうー。(^_^)y-~~~
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昨日は、疲れましたー(≧Д≦;) [映画・文学・音楽]

 昨日は、中からあれこれあって、そのあと出かけて・・・。
 暑いし、ご老体は疲れました。そういえば今日の最高気温予想は31℃とか(媒体に寄っては、33℃と出ています)。ボケてないのならもまだ5月ですよね。ううむ・・・と、『山波』の宣伝でも貼って誤摩化しておこう。(^^;
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女性向け映画2本(忘備録) [映画・文学・音楽]

 朝から雨。午後にはあがるという予報だが、大丈夫なんだろうねえ?
 今日は、出かける用事が2度あるので気になる。春眠暁を覚えず、なんて言うが眠りが浅いので常に眠たい状況だ。そんなとき、傘をさして出かけたくないなあ。( >_< )

 昨日は、1日パソコンに向かっていた(逆に、今日は出入りが2度(^^;)。
 先月のことになってしまうが、珍しく女性向け映画(と、偏見で勝手に決めつけている(^^;)を2本も見てしまったので、忘備録を兼ねて書いておく。
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 1本目は、『桜のような僕の恋人』
 テレビでも盛んにCMが流れているので、「ああ、あれか」と思う人も多いだろう。主人公はプロカメラマンを目指す青年(中島健人)、ヒロインは松本穂香。ストーリーは、ヒロインが普通より早く老化していく病にかかってという、よくある難病物。難病物は、半世紀以上前の『愛と死をみつめて』を代表に「万」とあるのでラストは見なくてもほぼ見当がつく。となると、難病になってしまったヒロインを初めとする登場人物にどこまで感情移入できるか、どこまで応援したくなるのかが勝負になる。
 その点、本作のヒロインを演じた松本穂香、素晴らしくうまい。いいねえ。この人、テレビの日曜劇場『この世界の片隅に』で注目したのだが、昭和の顔のようにも、ハーフかクォーターの顔のようにも見える不思議な女優さんだ。今回もなんともいい味を出している。決意と切なさ、悲しみがストレートに感じられる。浜辺美波や上白石姉妹のような派手さはないが、「女優」としては間違いなく頭1つ抜け出した感じだ。唯一、不満をあげると「ここ」という決意の場面での脱ぎ惜しみ。私は、若手女優では浅川梨奈と芋生悠に注目しているが、この2人はもう少し割り切って大胆にやっておるぞ。とまれ、今後は松本穂香も合わせて、この3人に注目していきたい。
 中島健人もジャニタレとしては健闘してはいるのだが、ヒロインの兄(永山絢斗)、その婚約者(桜井ユキ)、カメラの師匠(及川光博)らが存在感抜群なので対照的に影が薄くなってしまった。話自体は予想通りの陳腐なもので予想通りなので不満はないが、ともかく主人公のキャラがたっていないのが残念。この映画は松本穂香と永山絢斗との兄妹愛に重点をおいて見るといいと思う。兄の妹を思う愛と献身ぶりには胸をうつものがあったので。
 2本目は『そして、バトンは渡された』
 去年の映画だが、公開当時少しだけ話題になった。ヒロイン森宮優子に永野芽郁、その父に田中圭。母役は石原さとみなのだが、これが自由奔放、勝手気ままな女性で結婚、離婚の繰り返し。実は、その行動は娘・永野のことを思ってなんて説明が出てくるが、あまりにもぶっ飛んでいるため、説得力は全くない。最初の夫は大森南朋(永野の実の父親)、次ぎが市村正親で、田中圭は3番目だが、結婚直後に石原は消えてしまう。まあ、まんがといえばまんがだが、本作の中でいちばん目立っていたのは、永野でも田中でもなく、石原さとみだ。要するに、石原の産んだバトン(永野)が次々と父親の間をリレーされ、最後は結婚相手に渡されるというのが、タイトルの由来。
 問題は、(娘のためとはいえ)石原をあまりにブッ飛んだキャラにしてしまったため、ヒロイン以下がすべて霞んでしまったこと。結婚相手といい、子供のころからの知り合いといい、永野を取り巻く人物などいてもいなくてもいいような存在で、なぜ好きにあったのか、なぜ仲良くなったのか、なぜ嫌いなのか、こちらのボケのせいもあって全然わからない。結婚相手の岡田健史もあまり魅力はなく、もの足りない映画だった。しかも2時間超えは長過ぎて、年寄りは眠気と闘うのが大変だ(もちろん、個人の感想です)。ま、若い人の見る映画なんだろうな、ということにしておこう。(^^;
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2本の「WEST SIDE STORY」 [映画・文学・音楽]

 昨夜、カレーライスに卵を落とそうと冷蔵庫から出した途端に、手からポトリ[がく~(落胆した顔)]。卵を落としても割れませんシートなど敷いていないので、床に激突してぐしゃっ[もうやだ~(悲しい顔)]。自分が思っているほど握力が出ていないのでこういうことになるのでしょうね。思ったほど足が上がっていないのでつまづく、思ったほど声が出ていないので相手に届かない・・・。いやあ、「老人力」の向上には目を見張るものがあります[たらーっ(汗)]

 本日は「忘備録」なので思いつくままダラダラと書く。昨日、ブログの最後に「明日は忘備録を兼ねて何か書きましょうかね?」と書いたら、「期待してます」なんてコメントが入ったが、読者(という者がいるのだとしたら)にとっては、他人のとりとめのないメモ書きなので、全く期待はできないことを最初に書いておこう。
ウエストサイド.jpg
※以下の雑文は、1961年版リアル世代で劇場にも何度も行った人間のバイアスがかかっていると思って読んで下さい。評論ではなく、忘備録ですから。
 スティーブン・スピルバーグ監督の「ウエストサイド・ストーリー」観た。1961年のロバート・ワイズ監督「ウエストサイド物語」のリメイクだ。
↓1961年版予告編
https://www.youtube.com/watch?v=2bftyKQfyLY
↓2021年版予告編
https://www.youtube.com/watch?v=QgxPtRinb0o
 観た後、世間の評判はどうなんだろうと、まず映画評論家でもある町山クンの感想がYouTubeにアップされていたので観て(聞いて)みた。1961年の映画について人種問題、社会問題をミュージカルに取り入れた、セットではなく本当にウエストサイドで撮影したなど、訊き手の前作を観ていない無知ぶりにも驚いたが、映画、ミュージカルの本質とは関係ない話ばかり。あれあれーと思っていたら、前作は名作だが完璧ではないと言い出した。私も不満な点がないではないので、ふむふむと聞き入っていたら、主人公2人(ナタリー・ウッドとリチャード・ベイマー)がプエルトリコ、ポーランド系ではない、歌が本人のものではない(マリアの歌はマーニ・ニクソンの吹き替え。「王様と私」のデボラ・カー、「マイフェアレディ」のオードリー・ヘプバーンの吹き替えも彼女)、なんて・・・またまた映画、ミュージカルの本質とは関係ない話が締めくくりだった。この「論」でいくと、極論すれば貧乏で育った俳優は金持ちの役をやってはいけない、人を殺したことのない俳優が人殺しの役をやってはいけない、なんてことにもなりかねない。重要なのは、俳優個々人の履歴や私生活などではなく、俳優の演じている役が、観客にそれらしく見えるかどうかということではないのか。
 確かに前作のナタリー・ウッドとリチャード・ベイマーは「名作の濁2点」だったが、さすがに見た目は悪くない。今回のアン・ミカの上下を押しつぶしたのような顔のヒロインと、禿げ始めているようなオーラゼロのおっさん風相方よりはずっとマシだ。さらに、町田クンは、今度の作品ではちゃんとそれ系の人が自分で唄っている=すばらしいとわけのわからない絶賛だが、音楽音痴の私には、(吹き替えであったとしても)前作のほうが「トゥナイト」などはるかにうまく聞こえた。これも、それらしく聞こえればいいのだ。私なんぞ劇場で見たときは、ナタリー・ウッドは歌うまいなあと感心したくらいだ。
 こちらもボケているが、町山クン、私以上にボケたか。それとも、スピルバーグに忖度したか。
 ネットには、音楽、歌、踊りが素晴らしいという意見が溢れているようだが、おいおいレナード・バーンスタインの音楽もジェローム・ロビンスの振り付けも、舞台のときからあるもので、別にスピルバーグが作ったものではないぞ(さすがにアレンジはしている)。それで、スピルバーグ凄いは誉め殺しだろう。以前、このブログに名作のリメイクは難しいという雑文を書いた(観客は元の名作を基準にしてリメイク作を観るので、名作を超える作品を作らないと意味がないため、たいていが「失敗作」になってしまう)。
https://animalvoice.blog.ss-blog.jp/2021-12-08
 残念ながら結果は、予想通り。
 「物語」が公開されたとき、舞台を観ている人たちから「クール」の場所(映画は決闘の後、舞台は決闘の前)が違うという声が上がった。後に舞台の映像を観る機会があったが、やはり前半の盛り上がりに比べて後半は退屈するとまでは言わないが、弱い。おそらく「物語」のスタッフたちは2時間半の映画の緊張感を持続させるために、ブロードウェイで評判だった「クール」を敢えて後半に持ってきたのだと思う。そのため、敢えてジェット団の副団長にアイス(タッカー・スミス)という舞台にない役もつくった。結果、このシーンを観るためだけでも「物語」を観る意味があると言えるほどの名場面が出来上がった。
https://www.youtube.com/watch?v=wugWGhItaQA
 「ストーリー」では「クール」は舞台と同じように決闘の前に戻されたが、アクロバティックなダンスを入れたところで拳銃を取り合うような「クール」では「物語」の緊張感もインパクトもない、ただのミュージカル・ナンバーの1つとしてしか印象に残らない。しかも、「クール」を前半にもってきたことにより、後半はより物語的流れにはなったものの暗く静的で退屈なものになってしまった。
 気になると言えば決闘の前の「クインテット」も。「物語」では真っ赤な夕陽と建物の黒いシルエットに始まり、次第に暗くなってきて、その後の悲劇を予感させるような血の色を思わせる赤い金網のアップで終わる。「ストーリー」では明るいうちに動き始め、決闘の場に着いたときには完全に夜。いったい、ドンダケ遠くまで行って決闘するんだ。鉄パイプや角材を持って街中を集団で進んで行くのを警察に通報する人はいなかったのか(「物語」では途中、集団が街の人とすれ違うようなアホな場面はない)。私は、この「クインテット」が「クール」の次に好きなナンバーでありシーンなので、とても気になった、というか残念だった。
 そういえば以前WOWOWで放送されたとき、この「クインテット」を先の町山クンは、「カルテット(四重奏)」と言っていた。どう考えてもジェッツ、シャークス、マリア、トニーそしてアニタの「クインテット(五重奏)」だろう。多分、アニタを失念したのだろうが、プロなんだからこういう重要なところを間違えちゃあいかんがね。(▼▼メ)
 あと、ソール・バスによるオープニングとエンディングの素晴らしさを知る者としては「ストーリー」のそれは退屈でしかない。ラストのマリア(ヒロイン)の言動も、ええっそれっ、て感じでとても納得できるものではない。
 そんなこんなで、私にとっては「やっぱりダメだったか」という「ウエストサイド・ストーリー」だったが、唯1つ、これは悪くないぞと思ったナンバーが「アメリカ」。「物語」の「アメリカ」は屋上で行われるが(歌と踊りを観せるミュージカル・シーンとして悪くはない)、「ストーリー」では街中に開放したミュージカル・シーンを現出していてスペクタクル的に楽しめる。「ウエストサイド・ストーリー」で評価出来るとしたら、このシーンだけではと思うのだが、しかし、この5分だけのために2時間半はキツイなあ・・・。
↓1961「アメリカ」
https://www.youtube.com/watch?v=_e2igZexpMs
↓2021「アメリカ」
https://www.youtube.com/watch?v=hoQEddtFN3Q
 ちなみに「突然歌いだしたり、躍りだしたり(するのが納得出来ない)」などとシッタカおじさんタモリのような人間は、ミュージカルもオペラもバレエも観ずに、地層でも眺めていればよろしい。感情の最高の高ぶり、最低の暗闇を歌と踊りで表現する。それが、ミュージカルというものだ。
 以下、妄想。
 1961年版の場合、確かブロードウエイの初演は4年ほど前のはず。大ヒットしたから映画化の話も出たわけで、舞台はまだばりばりの「現役」。その舞台を観た人たちは当然映画を観に来るはずだ。とすれば、そういう観客を失望させないためにも(映画評はまちがいなく舞台との比較になる)歌と踊りを前面に出した舞台ならではのよさも取り入れる必要がある。「ジェットソング」「サムホェア」「アイフィール・プリティー」「アメリカ」などのシーンがそれだ。しかし、これは映画なのだから映画ならではの舞台と違うというところも出さなければならない(でなければ、皆、舞台に行っしまって映画を観には来ない)。それが、オープニングであり、「クインテット」であり、決闘シーンでのキラリと光るナイフのクローズアップだ。つまり、「ウエストサイド物語」はブロードウエイの舞台というものを意識しながらも、舞台では出せない映画ならではの表現を随所に展開してみせた。要するに舞台のもつ様式美と映画ならではのリアリティーが必然性をもって入れ替わるのだ(決闘のちょっとダンスを模したような始まりから=ここは舞台的ミュージカル的、突然ナイフキラリのクローズアップ=映画的現実的、がいい例だ)。
 だから、名作になった。
 対するスピルバーグの「ウエストサイド・ストーリー」。たとえば最も有名な「トゥナイト」のシーン。バルコニーの階段を登る音などもきちんと入れている。リアリティーを追求したのだろう。対して「物語」の「トゥナイト」は、(周囲の音を消しているわけではないが極力抑えて)原案の「ロミオとジュリエット」よろしく、これでもかというくらい情感たっぷりに描いている。で、どちらが印象に残るかといえば、もちろん後者だ。歌のラストもこう接近して唄っていたのでは、「さよならまた明日」の余韻もない。
 これは映画なんだ、映画なんだという意識が強過ぎてリアリティーを過度に取り込んだ結果、歌と踊りもきちんと観せ聞かせてこそのミュージカル映画の核心が中途半端になってしまったのだと思う。さらに言ってしまえば、音楽、踊り、画面が協力し合ってこそ感動が生まれるのだが、それがうまく合っていない。あと、ジェット、シャークの面々がとくにそうなのだが、個々人の個性が立っていないので、ボケ老人には「これは、誰だっけ?」ということが多々あったことを付け加えておきたい。
 1959年版の「ベン・ハー」は今でも感動を与えてくれるのに、2016年版のリメイク作は話題にする人がいない。出来の悪さに日本では上映すらされなかった。黒澤明の「隠し砦の三悪人」「椿三十郎」に至っては、リメイクされたということ自体が話題にもされない。「WSS」は前作からリメイクまで60年だそうだが、果して60年後にスピルバーグ版を話題にする人がいるのだろうか?。
 1961年版は、マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」や「BAD」などのMVに多大な影響を与えていることについても書くつもりだったが、長くなるので止めにする。

※それにしてもスピルバーグは、なぜリメイク作品を作ったのだろう。考えてみるとリドリー・スコット(84歳)も最近は「ブレードランナー」の後日譚に手を出して失敗したり、「エイリアン」の前日譚を作って墜落したりという意味のないことを繰り返している。山田洋次(90歳)は「キネマの神様」という30年以上も前の「キネマの天地」と同じ結末を作ってしまった(ロシアのプーチン同様、誰か止める人間はいなかったのか?)。スピルバーグももう75歳の後期高齢者だ。こちらも似たような歳になっているのでわかるのだが、古稀を過ぎると全く新しいものをゼロから作り出すのは至難の業だ。しかし、自分はまだまだ「できる」んだぞと世間に示したい気持ちもある。結果、ついつい過去作のリメイクやシリーズものに頼ってしまうのではないかと思う。
 『山波』についても、私自身、過去の取材の話ならそれほど苦労せずいくらでも書ける。しかし、「総合文芸誌」というタテマエ上、雑誌のバランスを考えての代表からの「命令」は、「小説」。となると、ゼロから何かを作り出していかなければならない。キツイなあ・・・。(^^;
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『山波』199号頒布開始 [映画・文学・音楽]

 本日3/1、代表が印刷所に行って修正確認の後、申し込まれた皆様への頒布手続をする予定です。重大な印刷ミスなどあって頒布が遅れましたが、今しばらくお待ちください。
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※例月、月初めは埼玉のKSさんによる「つれづれ日記」を掲載していますが、今月は諸般の事情により中止とします。m(__)m

※昨日は、湿疹がちょっと出たので病院に行ってきました。去年の秋と同じ症状で、塗り薬をもらってきました。どうも、乾燥した今くらいの温度だと湿疹が出やすい体質のようです。診断10分、待ち時間1時間半(@_@;)というのは何とかならないものですかねえ。
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『山波』199号 [映画・文学・音楽]

 昨日のブログでも少しだけ触れたのですが・・・。
 『山波』199号がようやく出来上がり届いたのですが、ちょっとというかかなり問題になる印刷ミスが発覚しました。印刷所もミスを認めているということです。全面的に刷り直すのか、あるいは部分的に修正ができるのか、そのあたりのところを本日wildさんが印刷所の責任者と話し合ってくるそうです。いずれにしても今のままでは問題が大きいので、結論が出るまで会員の皆様への本誌送付はストップします。申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。
山波199.jpg
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雪降れど積もらず [映画・文学・音楽]

 山田洋次監督の「キネマの神様」を見た。例の、志村けんのコロナ急死により沢田研二が急遽キャスティングされた映画だ。確か山田洋次はもう90歳くらいのはず。クリント・イーストウッドといい勝負だ。作品自体は、過去と現在が交錯する構造だが複雑なものではなくよく整理されているので戸惑うところはない。もちろん、山田洋次作品なので悲惨なことにはならない。傑作というほどのものでもないが、それほど飽きずに見られたのだから、90歳にして腕は落ちていない。がだ、本作だけ見ていれば問題ない結末ではあるにしても、30年以上前の「キネマの天地」と同じ結末たぁどういうことだ。いくらなんでも、これはないだろう。もしかして、ボケか? それとも、昔の映画なので誰も覚えていないだろうと思ったのか。だとしたら、これほど観客をバカにした行為はない。シナリオの段階で、誰か、注意してやれよ。( >_< )

 一昨日の夕方から夜にそこそこ降雪があったので、積もるかなと思ったのですが、朝見たら全然のゼン。仕方がないので、以前撮った雪写真でも貼っておきます。
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雪足跡.jpg
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どうもうまくいかない・・・ [映画・文学・音楽]

 お年玉年賀はがきの当選番号が発表されました。私のは全滅です。
https://mainichi.jp/articles/20220116/k00/00m/040/073000c

 いい天気なので、買い物に行ってきました。
 大雪だ、津波だ、コロナだと騒がしい世の中ですが、とりあえず本日中にwildさんに「試作品」を送ると約束してしまったので、せめて形だけでもと精進します・・・。(@_@;)

 wildさんから「協力要請」という名の命令で書き始めた『山波』原稿、どうもうまくいかないというか、そもそも作品と言えるものなのかどうかも判別がつかない。うだうだやっていても仕方がないので、とりあえずフィニッシュして、wildさんの判断を待とうと思う。半世紀以上も交流が続いている知り合いなので、軽い気持ちで「協力するよ」と言った一言が大変なことになっちゃったなあ・・・。(^^;
ゴジラ.jpg
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「ドライブ・マイ・カー」を見た [映画・文学・音楽]

 新型コロナの1/14感染者数は全国で22000人超。
 東京、大阪、沖縄、愛知、神奈川で1000人超。東京の4051人というのは久しぶりに見る数字で、今日1/15は5000人突破ですかねー。人と会う予定、どこかに遊びに行く予定、すべてがペンディングです。こうなると、昨年末、水上温泉に行ったのは先見の明があるということになりますが、なんだか素直に喜べません。(^^;
 KSさんや久しぶりにSYさんと会ってバカ話でもしたいのですが、今の状況では難しいかなあ。残念。

 映画「ドライブ・マイ・カー」が全米映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞を受賞したというニュースが流れています。
https://www.youtube.com/watch?v=rpjzaZn4_V0
海外のサイトに「プロモーション・オンリー」と透かしの入った動画があったので、見てみた。日本語、韓国語、手話などすべてのシーンには英語字幕が出るのだが、私の英語力だと少し長い台詞は脳内翻訳の途中で字幕が消えてしまうので、韓国語と手話の細かいところは推測するしかない(もちろん、日本で上映されているものには当たり前だが日本語字幕が出るのだろう)。原作は村上春樹の短編なのだそうだが、他の短編の要素も入っているらしい。村上作品はたいして読んでいないので、どこがどの短編からのものなのかは私にはわからない。ただ、こういうタイトルをつけているのだから骨子は同短編のものなのだろうと推測。
 主演の西島秀俊は妻を失った喪失感と最後の言葉を聞いてやれなかった後悔、そこから徐々に再起していく感じをうまく出していた。もともと派手ではないが陰気でもない俳優なのでキャスティングの勝利だろう。運転手役の三浦透子(聞いたことのない女優)も無口な女性をうまく演じていた。岡田将生は、もう一つかな。内に秘めた若さのどろどろ感がもう一つほしいところだ。
 とくに大きな山場があるわけでもなく話は淡々と進むのだが、常に何かひっかかる感じがあって、次ぎの展開が気になる。結果、三時間近い長丁場を飽きせず見せるのは監督の力量か。ファンタジー恋愛とかCGアクションとか戦いと殴り合いばかりの昨今の映画の中では年寄りも落ち着いて見られるいい映画だった。ただ一点不満があるとすれば、西島の(亡き)妻を演じている霧島れいかの脱ぎ惜しみ。セックスのオルガの後で彼女の心の中に物語が浮かぶ。寝物語の中で彼女はそれを西島に語る。翌朝、当人はそれをすっかり忘れてしまっているのだが、西島は覚えていて書き留め戯曲が出来上がる。とても仲のいい夫婦に見えるのだが、西島は、妻が他の男とも寝ていることを知っている。というところがキーポイントなのだから、やはりベッドシーンは仲睦まじい夫婦のイメージが必要で、もっと濃厚でないと西島の喪失感が薄らいでしまう。脱ぎ惜しみしている場合じゃないだろう。これだったら過去にヌードになったことがありそれなりの演技力もある大塚千弘、村川絵梨、三津谷葉子、瀧内公美あたりを起用したほうがよほどしっくりきたと思うのだが。

名称未設定 1.jpg

評価 ☆☆☆★★
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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