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水木しげるさん追悼 [映画・文学・音楽]

 水木しげるさんが亡くなりました。根拠などないのですが、なんとなくこの人は死なないんじゃないかと思っていたので、ちょっと驚きです[もうやだ~(悲しい顔)]
http://www.mizukipro.com
http://www.asahi.com/articles/ASHCZ5K6YHCZUCLV012.html
 私が水木しげるさんの本を最初に読んだのは貸本の「化烏(化鴉?)」。これは後の東宝映画「マタンゴ」の原型のような話で、なぜか主人公は烏に変身し家に戻ってくるのですが烏の鳴き声がうるさいと息子に空気銃?で撃たれてしまうという奇妙なまんがでした。その少し後に読んだ「夜の草笛」などの時代劇怪談はあまりおもしろくなかったのですが、「墓場鬼太郎シリーズ」はおもしろかった。子供心に奇妙な恐ろしさが感じられました。今にして思うとバックグラウンドに流れている「死」というものにたいする不安、恐怖というものだったんでしよう。
 「ゲゲゲの鬼太郎」になってからは死のイメージはほとんどなくなり、鬼太郎も悪い妖怪と戦う正義の味方になってしまったんですが、「墓場」の鬼太郎は小学校に通っているのにタバコ[喫煙]は吸うはコーヒー[喫茶店]が好きで喫茶店に入り浸っている完全な「不良」[たらーっ(汗)]。喫煙を咎めると「人間ならね」なんて言葉が返ってきます。で、下手に逆らうと地獄に流されてしまうという怖い存在でそれがまた魅力でした。あと、どうでもいいことですが、「墓場」の猫娘は「ゲゲゲ」の猫娘と比べてずっとかわいくて美人です。
 その後は、「ガロ」や「ビッグコミック」のものを時々読む程度でしたが(白土三平の「忍法秘話」のパロディー「忍法屁話」なんて短編があった)、本屋で偶然見つけたのが「河童の三平」復刻版。これは抜群におもしろかった。「三平」も後のものは悪魔や妖怪と戦う正義の味方ですが、原本の三平はしみじみとした味があり、読み終わって何とも言えない感動が心に残ります。水木まんがには、戦争体験からくるものでしょう、常に「死」のイメージが基底音としてずーっと鳴り響いていますが、「三平」ではその死のイメージが詩にまで昇華されています。今でも私はこの「河童の三平」が水木まんがでいちばん好きです。「悪魔くん」も復刻版を読むとこの世に千年王国をもたらそうとする悪魔のような天才少年の話で不思議な魅力がありますが、悪魔くんも後のものは正義の味方になって悪と戦うというつまらないものになってしまいました。
 つまり、鬼太郎、三平、悪魔くんとも私の好きな暗いイメージのときは壊滅的に売れず、正義の味方になって爆発的に人気が出たわけですが、大衆(とくに子ども)受けということを考えると仕方ないことなんでしょう。そんな一般的な人気が出てからの作品を否定する気はありませんが、講談社漫画賞を授賞した「テレビくん」など私にはホントにつまらないものに思えました。
 水木さんの「本音」というか「味」が色濃く出ているのはやはり元の貸本版でしょう。これらオリジナル版は今では角川文庫や筑摩文庫などで復刻されているので、未読の人にはぜひ読んでもらいたいと強く薦めておきます(とくに「河童の三平」)。
 妖怪物以外で欠かせないのが「総員玉砕せよ!」「昭和史」の2作。上に書いたように鬼太郎などが正義の味方になって私にはつまらなくなってしまい、「もう水木さんも終わったな」と思ってい頃、突如として出た傑作です。水木さん、全然終わってなかったです。済みませんでした、私の早とちりでした。もう遅すぎるかもしれませんが、この場を借りて謝っておきますm(__)m。
 戦争で片腕をなくしている水木さんだけに、普段ひょうひょうとしているイメージのある水木にしては珍しくこの2作には強い思い入れが感じられます。戦争の最大の犠牲者は死んだ人たちです。そして、死者は何も語りません。生き残ったのは単なる偶然です。だからこそ、水木さんの作品や新藤兼人さんの「一枚のはがき」などには、生き残った自分は死んだ人たちの分までも戦争というものを語らなければならないという義務感のようなものが感じられます。「総員玉砕せよ!」を読んだらあまりの壮絶さに「真空地帯」「野火」「ビルマの竪琴」「人間の條件」などそれまでに読んだ戦争に関する小説が一瞬に吹っ飛んじゃいました。水木さんは、ただの妖怪漫画家ではない、いや、妖怪漫画家としてももちろんすばらしいのですが、そういった枠を超えた作品も生き方もすばらしい作家でした。合掌。
 ・・・と書いてきて、水木さんには人物伝というジャンルもあり「近藤勇」と「ヒットラー」の2作にはとくに感心したことを思い出しました。「ヒットラー」などぜひ安倍独裁者に読んでもらいたいと思いますが、「頭の良さ」では歴代総理の中でも屈指の人だけに、理解できますかねえ[わーい(嬉しい顔)]
ヒットラー.jpg
(以下の写真は、以前、富士急ハイランドに家族で行ったときコンデジで撮ったものです)
↓鬼太郎の家
1鬼太郎の家.jpg
↓鬼太郎(左)猫娘(右)
2鬼太郎(左)猫娘(右).jpg
↓ねずみ男
ねずみ男.jpg
↓ねずみ男(左)猫娘(右)
ねずみ男(左)猫娘(右).jpg
↓砂かけ婆
砂かけ婆.jpg
↓子泣きじじい
子泣きじじい.jpg
↓塗り壁
塗り壁.jpg
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★1兆円以上使って収入が6億円ですか。民間なら間違いなく潰れていますね。誰か責任をとった人いるんでしょうか。それにしても電力を作るための装置が動いてもいないのに毎年100億円以上の電気を消費するとは、さすがの文殊菩薩様も見抜けなかったと思いますよ。
http://mainichi.jp/select/news/20151202k0000m040157000c.html

★安倍独裁政権がよく使う「責任野党」についての解説です。なかなか興味深い記事です。
http://mainichi.jp/shimen/news/20151202dde012010002000c.html

★こういう記事を読むとつくづく日本に「表現の自由」「報道の自由」はないと思いますね。
http://news.infoseek.co.jp/article/shupure_57661/
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