SSブログ

安心の周防印「カツベン!」 [映画・文学・音楽]

 本日の東京都コロナ感染者数243人。
 いやはや、口だけ都知事が横文字を並べているだけなので連日の「新記録」更新です。
https://www.asahi.com/articles/ASN7B4STYN7BUTIL015.html?iref=comtop_8_01

 昨日(7/9)は、どうも腰が重いので打ち合わせの前に整骨院にいってきました。ところが、腰のかなり上の背中を指圧しただけで、腰の所がピリッと痛い( >_< )。これは特別警報の氾濫寸前(ギックリ腰直前)ですねえということで、最後に薬を塗ってもらいサラシでぐるぐる巻きに。まあ普通に打ち合わせもでき、歩けてもいますので、このまま悪化せずに治癒していけばいいのですが・・・。

「カツベン!」☆☆☆★

 私は、モッくんが坊主になった「ファンシイダンス」以来の周防正行監督フアンだが、「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」「ダンシング・チャップリン」「終の信託」「舞妓はレディ」と見てきている。遡って「変態家族 兄貴の嫁さん」というエロ映画もビデオで見ているので、多分「マルサの女をマルサする」以外の全作品を見ていると思う。特筆すべきは、「Shall we ダンス?」をピーク、「ダンシング・チャップリン」をボトムとして多少の出来不出来はあるものの、1作として駄作がないということだ。少なくとも、見て「腹が立った」とか「時間の無駄だった」ということが一度もない。
 そこで、今回の「カツベン!」(「のり弁」などと同類の「カツ弁」ではない。念のため(^^;)。このところ「屍人荘の殺人」(俳優を生かしきれない出来の悪いゾンビ映画)「地獄少女」(2時間もたせるために悪戦苦闘の地獄姉さん)「ヲタクに恋は難しい」(もう佐藤二朗出すなよ。毎度のおどおど繰り返ししゃべりは退屈なだけ)とひどい映画を立て続けに見てしまったので、いわば「安心印」の周防作品で「口直し」をしようと考えたのである。結論から言うと、周防作品としてはそれほどのものでもなかったが、今の映画状況から見れば笑わせるところハラハラするところなど緩急自在で、2時間十分楽しむことができ、十分に「口直し」できた。

 物語は大正時代。カツベン(活動写真弁士)のモノマネが得意な主人公・染谷俊太郎(成田凌)、映画好きな少女・栗原梅子(黒島結菜)のエピソードから始まり、俊太郎はドロボー興行師の下で有名活弁士の偽物として働いている。その後、俊太郎はドロボー一座の金を持ち逃げし、ある映画館で弁士をし次第に人気者になっていく。これに金を取り戻そうとするドロボー一座の面々や女優になった梅子(芸名・沢井松子)、刑事、敵対する映画館などがからんで話は進んでいく。
 ま、活動写真そのものが動き自体ドタバタとしたものなので、話がドタバタしても悪くはないのだが、ドタバタの因果関係が不明。正直、もう少し話を整理してもよかったのではと思ったのも事実だ。一応、俊太郎の盗んだ金が狂言回しになってはいるのだが、イマイチ効果を発揮していない。周防作品は周防自身が脚本を書いており、今まで、ここはもう少し短くてもよかったのではと思わせる部分がなかったわけではないのだが、「未整理」を感じたのは初めてのこと。クレジットを見ると片島章三の脚本となっているので、映画製作の過程で何かあったのかもしれない?
 
 それでもいろいろな映画の断片をつなぎ合わせたものをカツベンの力で1本の映画のように見せていくあたり、周防マジック炸裂といった感じで、さすがと周防監督と思わせる。成田のカツベンもいい。「ニュー・シネマパラダイス」のラストで多くの映画のキスシーンをつないだ場面が話題になったが、こちらのほうが遥かにうまく、かつスリリングだ。冒頭の子どものころとラストをキャラメルでつなぐあたりもうまいものだ。
 主人公の成田凌とヒロインの黒島結菜も好演。成田は「逃げ恥」のボーイズラブ青年のときはどうでもいいような役だったが、この映画ではきちんと演技できていて驚いた。黒島も「アシガール」のときはただ走っているだけの印象しかなかったが、こういう演技ができれば「化ける」可能性がある(「呪怨」なんぞに出ている場合ではない)。そのほか、永瀬正敏、高良健吾、山本耕史、池松壮亮、竹野内豊、井上真央らが、皆それらしく見え不自然さがないというのはやはり監督の演出力というものなのだろう。
 なお、劇中のサイレント映画は(そのまま使ったものもあるようだが?)サイレント映画風に新撮しており、「金色夜叉」のお宮に上白石萌音、「椿姫」には城田優と、お約束カミサンの草刈民代が出ているのでお見逃しなく。

 いずれにしたも、これくらいのレベルのものを作ってもらえれば、こちらも「あー、おもしろかった」と満足して見終えるのだが、暴力とホラー、CGばかりに頼り、なによりも適当な脚本にのっとったままの映画ばかりが量産されている現状では望むほうが無理か。やはり、毎度のことながら、黒澤明監督の名言をとりあげておこう。
「いいシナリオからいい映画ができるとは限らないが、悪いシナリオからいい映画は絶対にできない」

↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=JpY8mi0dKvo
名称未設定 1.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)

★デジタル一眼カメラもここまできましたか。もはや私には縁のないものなんですが、R5のこの高性能で50万円以下というのは「お値打ち」です。
↓R5
https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r5/
↓R6でもう十分ですが、ま、これも30万円ということでパス。
https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r6/
★EFレンズはアダプタ使用でRFマウントにつけられるのですが、RFレンズはEFマウントにはつけられません。ですから、買うことはないのですが純正の超望遠は無理(金銭的にも体力的にも)と思っていた人間には、600mmが8万円以下、800mmが約11万というのは「おおっ!」という感じですねえ。
http://digicame-info.com/2020/07/post-1361.html
↓おーっと、この100-500も魅力たっぷり
https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/lens/100-500/
nice!(10)  コメント(5) 
共通テーマ:日記・雑感