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娯楽作だが意図は伝わる「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」 [映画・文学・音楽]

 下の方にも書きましたが、弾よけに度胸のあるところを見せて予告通り中東に行くのかと思っていたら、安倍ちゃま取りやめなんだってさ。それでも自衛隊は派遣する。さすが「自分さえよければいい」第一主義の安倍ちゃまですなぁ。ごるらぁぁぁぁぁぁ![パンチ]
(夕方になって、安倍ちゃま「行くことも検討」というニュースが流れていました。もともと威張りたいだけの人ですからポリシーなんてものはない。ちょっと安全そうな感じもしてきたし、自衛隊だけを派遣することに対する反発もあるので、慌てて「検討」を始めたんでしょう。つくづくダメな奴ですなぁ。めっ!

 先日のブログに「洋画2本に関しては気が向いたら忘備録の意味で感想を載せるかもしれない?」なんて書きましたが、本当に忘れそうなので[がく~(落胆した顔)]その前にアップしておきます。[たらーっ(汗)]

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」☆☆☆★

 監督はスティーヴン・スピルバーグ。トム・ハンクスとメリル・ストリープの共演が話題になった映画だ。原題は「The Post」。ペンタゴン=アメリカ国防総省の最高機密文書の公表を廻るワシントン・ポストの人たちの物語である。私のイメージとしては、これを公表したのはライバル紙のニューヨーク・タイムズだったはずなので(これは間違っていなかった(^^)/)、前半は、なぜポストなのか違和感があった。が、原題を考えれば当たり前のストーリー展開なのだ。邦題に引きずられた私のミスである。アメリカで、タイムズといえばニューヨーク・タイムズ、ジャーナルといえばウォールストリート・ジャーナルそして、ポストといえばワシントン・ポストなのだよ、ワトソン君。
 もっとも後半、ジャーナリズムとは何かがメインになってくるとそんなことはどうでもよく、さすがにスピルバーグはこういう単純な図式(初期の「激突」「ジョーズ」なども同じ)に持ち込むとうまいもので、十分に緊張感もある。2017年末の公開ということを考えると、CNNに対しフェイクニュースと罵り会見出席を拒否したトランプ政権に対し「NO」を突きつけた映画であることは明らかだ。そして、そうした政治的な問題を度外視しても、緊張感のある映画で出来も悪くない。

 ジャーナリズムとして最大の責務は、国民に知らせることだ、とするスピルバーグの主張は明確で、FREEDOM OF PRESSのためにポストとタイムズを初め他の新聞も追随して共闘するところなどアメリカにもまだ民主主義があるのだと知らされ素直に感動出来る。ま、翻って日本の現状を見ると安倍政権の広報誌のような産経新聞は論外としても腰が引けているテレビ各局など溜息が出るばかりである。
 映画のラストは何やら怪し気な人物がビルに侵入していくところで終わるわけだが、アメリカはともかくこれがウォーターゲート事件の発端であることは日本では、とくに若い人たちにはわかりにくくなっているかもしれない(事件が起きたのは1972年。もう半世紀近く前のことなのだ(^^;)。

 この事件を追ったポストの2人の記者を主人公にしたのがロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが共演した佳作「大統領の陰謀All the President's Men」(アラン・J・パクラ監督)。2人も好演だが、編集主幹のジェイソン・ロバーズがなんともカッコよかった(☆☆☆★)。で、このとき情報を提供してくれる謎の人物ディープ・スロートを主人公にしたのが「ザ・シークレットマンMark Felt: The Man Who Brought Down the White House」(☆☆☆)。

 「ザ・シークレットマン」の主人公はディープ・スロートことFBI副長官代理のマーク・フェルト(リーアム・ニーソン。「シンドラーのリスト」の俳優だと思うのだがちょっと自信がない)、その妻に懐かしやダイアン・レイン。ウォーターゲート事件の影の人物として新聞に真相をリークするという展開にはかなり緊張感があってよろしい。この記者なら、この新聞なら忖度せずに事実を公表してくれるだろうという確信があればこその行動で、日本のマスゴミではリーク先がないので(^^;意味をなさなかっただろうと思う。ただ、フェルトがいかにも正義の人でFBIの権力からの独立を守った人のように描かれている部分には、所詮大統領府とFBIとの権力争いなのではないのかという疑問がないわけではない。

 「大統領」「ペンタゴン」にはロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマン、トム・ハンクス、メリル・ストリープといった超有名スターが出演している。このあたりが主演女優へのオファーがへっぴり腰女優(あるいは事務所)に断わられ、韓国の女優を起用せざるを得なくなった日本の「新聞記者」との大きな違いだ。
https://animalvoice.blog.ss-blog.jp/2019-12-16
 同じことは以前、マッカーシーの赤狩りで有罪判決を受けたダルトン・トランボのシナリオで作られた堂々たる70mm超大作「スパルタカス」を見たときにも感じた。その時の感想に「この映画は芸術映画でもなく政治映画でもなく、まぎれもないスペクタクル娯楽映画である。しかし、娯楽映画であるにもかかわらず、制作者の言いたいことは質を落とさず主張され、それがこちらの心にストレートに伝わってくる名作である」と書いたが、それは今も変わっていない。こういうところに腐ってもアメリカ民主主義のそしてハリウッド映画の「力」というものを感じるわけである。

 話を戻すが、いずれも誰のための組織なのか、誰のためのジャーナリズムなのかを問うもので、映画だから脚色はあるにせよ、たとえば核持ち込みに関する沖縄密約事件を情痴問題すり替えその反省もない日本のジャーナリズムとは大きな違いを感じざるを得ない。近年では誰が考えても憲法違反の集団的自衛権、自衛隊日報の書き換え、森友・加計問題、桜を見る会の疑惑等々そのまま伝えているだけの新聞も多い。安倍広報誌の産經新聞などは論外としても、アメリカなら当たり前の質問をしている東京新聞の望月記者が目立つような「記者会見」は絶対におかしい。最近ではトランプによるのイラン司令官殺害(これは間違いなくアメリカによる「テロ」なのだが、テロという報道もない)を日本のジャーナリズムはアメリカとイランの間だけの他人事の問題のように伝えているが、緊張が高まる中東に、安倍は自衛官を派遣するなんて言っている。いいのか、これで?
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020010601001133.html
(安倍自身が中東に行くという話があったので「弾よけ」でもするのかと思っていたら、あっさりと中止。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200108-00010009-abema-pol
普段あれだけ威勢のいいことを叫んでいるのだから、イラン首脳と会ってきっちり話してこんかいっ!)
ペンタゴン.jpg
↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=vOb8MKgB1qY
↓「大統領の陰謀」
https://www.youtube.com/watch?v=ThP7-SY7U8Q
↓「ザ・シークレットマン」
https://www.youtube.com/watch?v=FFU20AGzJn4

☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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