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東宝「変身人間シリーズ」3部作 [映画・文学・音楽]

 12/10の新型コロナ感染者数は全国で2969人。いよいよ3000人超えですねえ。(≧Д≦;)
 東京都602人、大阪府415人、愛知県242人、北海道241人、神奈川県214人、埼玉県188人、千葉県151人、兵庫県149人、福岡県79人・・・東京は初の600人超、隣接県も軒並み三桁です。大阪の400人超も気になりますが、例外的に第3波を抑えて来た福岡県の数字がじわじわと上がってきているのも気になります。10万人あたりの感染者数は、大阪、北海道、東京がいずれも20%超の危険水域。こんな状況でも未だにGoTo延長なんて言っているスカ総理以下全員がスッカスカのカスですな。(▼▼メ)
 なんて言っているうちに「勝負の3週間」(確か11/20とかの発言だったと思う)もそろそろ終わりに近づいて来ているのですが、感染者数、重病者数ともに減るどころか増える一方。政府、知事、市長のお偉いさん共、3週間が終わったらどうするんじゃい、このボケが!

 お約束通り東宝の「変身人間」シリーズ
 ようするに、これまた私の「忘備録」なので、読まないでスルーしてください

 東宝特撮というと「ゴジラ」があまりにも有名になりすぎたせいか、ラドン、モスラ、キングギドラなど特撮=怪獣映画と思われがちだが、「地球防衛軍」「妖星ゴラス」などはある意味怪獣不要の特撮映画だ。また、古くは「古事記」からストーリーを組み立てた「日本誕生」、来年テレビドラマにもなる「日本沈没」(元SMAP草薙剛主演の駄作リメイクもあった)、由美かおるの美巨乳がチラリと見える「エスパイ」など怪獣とは全く無縁の特撮映画もけっこうある。
 東宝自体も怪獣ものの特撮だけでは先が見えている新しい特撮シリーズが必要だと思って(私の推測です)始めたのが「変身人間」シリーズなのだろう。ただ、このシリーズだったの3作で終わってしまった。なぜ短命に終わってしまったのか、3作見るとその答えが自ずから浮かんでくる。
変身.jpg
「美女と液体人間」
 日本の「第二竜神丸」(明らかに「第五福竜丸」がヒントだろう)が水爆実験の放射能を浴びというのが発端。いくらなんでも放射能でこういうことは起こらないだろうし、原爆の被害者のことを考えたらこういう設定でいいのかとも思うのだが(水爆を持ち込まなくても成立する話なのだ)、それを言っちゃあオシメエよ、なのでそこは不問にするしかない。まあ、今だと企画の段階でボツは必至。
 傘をさしたカップルの前で人1人が消えてしまうという出だしは悪くないが、あとはまあお決まりの展開。おっと、こんなところに「青春とはなんだ」夏木陽介が出ていた。冒頭のこのシーンだけなのでフアンの方はお見逃しなく。その後はどちらかというと刑事物語のような展開で麻薬なんてのもからんでるため退屈でだれる。むしろ、「幽霊船」を発見して調査するシーンなどが「ラドン」の炭坑調査を連想させる出来で悪くない。航海日誌が出て来るシーンで私は「吸血鬼ドラキュラ」の「船長の日記」を思い出した。ラストはもう少し盛り上がりというかクライマックス感がほしかったところなのだが、とくに意外な展開もないまま終了。
 と書くと「そんなつまらない映画なんでわざわざ見たんだ」と言われそうだが、なんたって、私の言うところの「東宝SF2大スター」平田昭彦と土屋嘉男が刑事役で出ているのだから、それだけでも見る価値があるってものだ。いや、見なければならない(きっぱり)。佐原健二、白川由美の特撮黄金コンビ(2人とも「地球防衛軍」「ラドン」「妖星ゴラス」などに出ている)ももちろん出演している。佐原の理系人間は全く似合わなくて失笑ものだが、白川由美はチンピラギャングの佐藤允に「脱ぐんだ」と言われ素直に脱ぎ(おいおい)下水道の中を下着姿でがんばっている。後の二谷英明夫人だが演技力はなくても下着姿をひろうしたがんばりには拍手だが、どうせ脱ぐんなら・・・(この映画の「美女」とは他にいないのでもちろん白川のことなのだろうが、調べてみるとこのときまだ22歳。問題なく30前後の女盛りに見える。年齢だけを考えるとAKBがショーパブの歌姫をやっているようなものなのだ(≧Д≦;)。
 そうそう「大怪獣バラン」のヒロインはこの映画で液体人間に殺されるダンサーではないかと書いたことがあるが、やはりブラとパンティーだけを残して消えてしまうダンサーの女優だった(園田あゆみ)。むっちりお姉さんでヒロイン役よりもやはりこういう役が合っている。そういえば「バラン」も平田、土屋そろい踏みだった。
 「電送人間」「ガス人間第一号」など「変身人間」3部作の1本だが、あまり子どもを意識していない作りになっているのは高評価。が、あまりあたらなかったんだろうなぁ。3作だけで消えてしまったが(後の「マタンゴ」などもこの系列に入るのかな?)、後のテレビドラマ「怪奇大作戦」はこのシリーズの復活版と言えないこともない。まあ「ウルトラマン」の後なのでこれもあたらなかった。ちなみに平田昭彦、土屋嘉男、白川由美のトリオは「電送人間」にも出演しているが、「ガス人間第一号」にも出て3部作完全制覇を成し遂げているのは土屋嘉男だけである。偉いっ!と思わず知らず頭が下がってしまうではないか。

「電送人間」
 こちらは1960年の映画で監督は福田純(後にゴジラ・シリーズや、くどいようだが由美かおるのおっぱいがチラリと見えた「エスパイ」などの監督)、特撮はもちろん円谷英二。平田昭彦、土屋嘉男、白川由美のトリオが出ているが、東宝もそれなりに力を入れて作ったのだろう、主演はナント超大物俳優の鶴田浩二だ。やったね。(^-^)
 SFによく出てくる「物体電送機」を利用して行われる犯罪とそれを追う新聞記者、刑事の物語で電送人間を演じたのは中丸忠雄。洋画の「ハエ男の恐怖」などがイメージとしてあったのだろうが、テレビが壊れたときのような乱れた横縞がババーッと入るあたり、CGなどない時代に雰囲気のあるかなり頑張った特撮だった。時代と言えば、旧軍隊がからんでくるのも時代で、軍の金塊や秘密の電送装置なんてのがポイントになっている。このころにはまだ「戦後」が残っていたんだなぁと、思う。

「ガス人間第一号」
 これも1960年の映画だが監督・本多猪四郎、特撮・円谷英二の黄金コンビに戻った。ただ、話としては強盗殺人事件が起き、それを追う刑事(三橋達也)や新聞記者といった代り映えしないものなのだが、踊りの家元の美女とて八千草薫がでている。踊りはともかくとして、八千草がこういう役をやるのは珍しいかもしれない。依然として演技はイマイチなのだが、八千草薫は八千草薫として成立しているのだから、もうとやかくは言わない。ガス人間を演じたのは土屋嘉男。この人、「七人の侍」の百姓から「地球防衛軍」での日本人初の宇宙人(ヘルメットで顔は全く見えない)ホントやる時にはやる。電送人間を演じた中丸忠雄はこのガス人間の役を断ったという話があるが、少しは土屋の役者根性を見習ったらどうだと言ってやりたい。

 CG全盛以前の日本の特撮というと、怪獣=ぬいぐるみというパターンばかりだったのだが、このシリーズなど見るといろいろ創意工夫して撮っているのだわかる。この方向ももっと伸ばしていったらおもしろかったのにと思わないでもない。が、当たらなかったのだろう、3本だけで終わってしまった。それで、東宝上層部は「やっぱり怪獣だ」ということになったのかもしれない。
 ただ、3本まとめと見てみると当たらなかったのは必ずしも怪獣云々だけではなかったような気もする。
 まず変死体とか人間消滅とか不思議な事件(殺人事件)が起きる、銀行強盗とかの手がかり不明の事件が起きる、それを追う新聞記者と刑事、原因は旧日本軍の秘密研究か日陰の科学者、その発明の利用者または犠牲者・・・、どれも似たような設定ばかりで、だいたい最後は変身人間の悲劇で終わる。
 また、変身人間の目的は極めて個人的なものに終始しているので(復讐など)、話が広がらない。たとえば液体人間に襲われた人は消えてしまうだけで、それが吸血鬼やゾンビのようにどんどん増殖して社会的な大事件になるなんてことは全然ないのだ。変な人間が現れ不思議な事件が起きましたが、その人間は死にましたので事件は解決しました。これでは何のおもしろみもないではないか。シリーズの失敗は、シナリオの失敗に尽きると思うのだが、どうだろう?
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