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脚本に感心した「水曜日が消えた」 [映画・文学・音楽]

 いやはや、緊張感がないというか、下級国民には自粛の嵐で、自分たちは夜遊び三昧。石原の例でもわかるように、与党のエライサンならコロナに感染してもすぐ入院できるという安心感がなせる業か。呆れ返る、開いた口が塞がらないとは、こういうことであるという典型的な事例として辞書に載せたいくらいのものである。(▼▼メ)
https://mainichi.jp/articles/20210126/k00/00m/010/276000c
↓ま、議員が議員なら秘書も秘書ということで。(▼▼メ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2f53230ec7bf482a71f3c0cff50b3590eb59e972

 水曜日なので、水曜日に関連した映画の話を。

「水曜日が消えた」☆☆☆★★★

 ダニエル・キイスの「24人のビリー・ミリガン」で有名になった解離性同一性障害(1人の人間の中に複数の人格が存在する)の人物を主人公にした映画。監督・脚本は吉野耕平(全く知らない人だ)。主人公は事故のせいで7人(つまり曜日毎に違う人格)が内在する。曜日によってこんなに違う人格が存在するんだろうか、という点さえ納得できれば別に難しい映画ではない。交通整理はとてもよくいきとどいているのですんなり映画の世界に入る事が出来る(他の曜日の人格に申し送りをメモ書きして貼っておくため家中にメモが貼られているところなど視覚的にも工夫されている)。
 今どきの映画にしては珍しく、原作の漫画もライトノベルもなく、監督のオリジナル脚本。普通、このての話なら月曜とか金曜とか別の曜日の人格が(同一俳優で)服装もしゃべり方もがらりと変えて出てくると思うのだが、本作では火曜日だけしか出てこない(厳密に言うとスマホで月曜日がちょっとだけ出てくるが)。この構成では普通に考えて話が単調になってしまうのだが、だれることなくきっちりと描ききったというだけで、★1つプラスしたい。
 いやあ、うまい脚本だなあ。
 きれいな色がスローモーションで浮遊している画面(同じ場面の繰り返しではなく少しずつ違っているので注意)やマグカップ、ネクタイなど細かな所にまで映画進行の鍵が隠されていて感心した。映画はモーション・ピクチャーなのだから、どんなに脚本がよくても、やはり「絵」として成立していることが必要なのだ。迷路を思わせる図書館のシーンなども視覚的に工夫が凝らされている。悲劇に終わらないのもよい。よーわからんという人のために、最後に各曜日を紹介するという親切もあり、クレジットへの移行もだらだらしていない。★もう一つプラス。
 主演の中村倫也は、映画「屍人荘の殺人」やドラマの「美食探偵明智五郎」など見てもなんだかなぁという感じだったが(「凪のおいとま」の廃人製造機役はよかった(^^)、この映画はとてもいい。キーポイントとなる女性役の石橋菜津美もちょっとボーイッシュな感じで愛と後悔の入り混じった役をうまくこなしている。ただ、図書館で出会う深川麻衣はかわいいのだが、ただそれだけの存在なのでもう一つ何かひっかかりが欲しいところ。医師のきたろうは、あいかわらずの存在感だが、個人的にはこういう医者にはかかりたくないなあ。
 私としてはヒット漫画やノベルで安全策をとった(企画が通りやすい)妙なファンタジーやホラー映画ばかりの昨今、こういう映画に出会えてホッとしている。久しぶりに満足のいく映画を見たという気持ちだ。いずにしてもストーリーを書いたところでこの映画のおもしろさは伝わらないと思う。気になる人は見るしかない。レンタルビデオショップにでも行って借りられたし。
↓ちなみに、下のポスターは、明らかにミスリードを狙ったものだと思う。
水曜日.jpg

※仕事が押しているので明日(もしかすると明後日も)ブログ更新休むかもしれません。
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