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洋画のタイトルと邦題03 「西部開拓史」など [映画・文学・音楽]

 ★11/20(18:00)の新型コロナの感染者は、全国で2414人とまたまた記録更新
 東京都522人、大阪府370人、北海道304人と、ここまでが300人超。以下、神奈川県208人、愛知県202人、兵庫県131人と、ここまでが三桁。にもかかわらず未だに検査数が増えたので感染者数が増えているだけだ、なぁんて言っているネトウヨがいます。そう思い込むのは勝手ですし、感染するのもご自由にですが、キャリアになってウイルスを撒き散らさないでくださいね。
 夕方見たテレビで、GoToについて訊かれた小池口だけ都知事は「国が責任をもってやっていることですから(国の責任で都には責任はない)」、西村経産大臣は「どこからも(ストップしてくれという)要請は上がって来てませんから(都道府県の責任で国の責任はない)」。要するに、何の手もうたずに責任のなすりあい。無知無能無策に無責任が加わっているわけですから、もう無敵ですなぁ。
 このブログは予約投稿なのでこの原稿は21:00に書いています。
 さすがに御身かわいさ自己保身最優先の尾身分科会会長もGoToの見直し提言をしたようなので、
https://www.asahi.com/articles/ASNCN6QCWNCNULBJ01P.html?iref=comtop_7_01
 地域を限ってのGoTo期限付き停止があるかもしれませんね。ただ、11/20の22時過ぎになっても結論は出ていないようで、これでは11/21からの3連休には絶対に間に合いません。GoToの地域別見直しや自粛要請などは感染者グラフを見たら誰でも提言が1週間遅いと思うはずです。ったく、上級国民=役に立たない保身人間ばかりですなあ。ただ、ガースーは、官房長官のころからGoTo推進狂信者なので、GoToそのまま継続の可能性は大いにあります。
 それにしても見るからに頭の悪そうな(個人の見解です(^^;)公明党の国交大臣、つい先日までGoToの来年GW過ぎまでの延長なんてなんて断言していましたが、「エヴァンゲリオン」のアスカ・ラングレーでなくとも一言言いたくなる。あんた、バカぁ?

★あと、コロナ関係で気になるのが、豊洲市場での感染。なぜかテレビではあまり取り上げられませんが、「食」に関係することだけに気になります。小池口だけ都知事もあまりしゃべりません。訊かれて「クラスターとは見られていないと聞いている」なんて、呑気なことを言っているようですが、感染者が82人も出たら立派なクラスターだろうが。速攻で全員検査をするのが当たり前だと思うのだが、あんたバカぁ?と、再びアスカ登場(^^;。
https://www.asahi.com/articles/ASNCL76K0NCLUTIL016.html?iref=comtop_ThemeLeftS_03

 はい、またお会いしましたねえ。しつこくアップしていますが、あんたもしつこく読んでるねえ。映画のこと語り出すときりがないので、とりあえず、今回でひと区切り。安心してくださいな。もっとも、いちばんいいのは、スルー。「忘備録」なんですから、読むだけ時間の無駄。最後まで読んでしまう、変人・奇人の人とは、また後でお会いしましょうね。
邦題03.jpg
「西部開拓史」
 原題は「How the West Was Won」。1962年制作の映画のせいか、「西部はいかにして勝ち取られたか」なんていう先住民の土地をかっぱらっていった歴史に対する反省の全くないタイトル。それが大ヒット。いかにもアメリカらしいと言えばアメリカらしい。「西部開拓史」という邦題はなんとなく内容がわかり、スケール感もあって悪くない。もちろん、だから傑作ということではなく、「シェナンドー」なんて歌があるくらいでシェナンドー河=ミズーリ河=ミシシッピ川を越えての西部「開拓」時代からウシのスタンピード、列車強盗、南北戦争、アパッチの襲撃(こういうパターンの映画はもう作られないと思う)など西部劇の要素をすべてつぎ込み、しかもジョン・ウエイン以下数十名のスターの見せ場も用意しなければならなかったため散漫話になってしまい、シネラマの大スクリーンだけが売り物の退屈な映画だった(ちなみに後の70mmフィルムを使ったシネラマではなく、3台の カメラを使った「本物の」シネラマなので、境目に縦の筋が見える)。当時、私が住んでいた名古屋にはシネラマ上映館がなくなかなか上映されないので(後に70mmフィルムにプリントされたものが毎日ホール大劇場で上映された)サウンドトラック盤のLPレコードを買った。アルフレッド・ニューマンによる序曲、メインタイトル、エンディングは気に入って何度も聞いた。スケール感たっぷりの名曲だ。
https://www.youtube.com/watch?v=updl0L4Tayc
 もともとは「LIFE」に連載されていた物語で、ビング・クロスビーやローズマリー・ クルーニー(ジョージ・クルーニーの母親)などが唱った「How the West Was Won」という2枚組LPが出ていて、私はてっきりこれがオリジナル・サウンドトラックLPだと思って買ってしまった(^^;。このレコードで驚いたのはジミー・ドリフトウッドの唄う「牛追いの歌」。解説では「土の香りがむせかえるような・・・」と書かれていたが、映画のものとのあまりの違いに笑えた。(^-^)
https://www.youtube.com/watch?v=ZZ8xec19OVk


「アルゴ探検隊の大冒険」
 と言えば、私が尊敬するモデル・アニメーションの神様・レイ・ハリーハウゼンの最高傑作。原題は「Jason and the Argonauts(ジェイソンとアルゴ船の乗組員)」で、欧米ではかなり知られた(ギリシア)神話である。無知な私は東京のSF大会(岩波ホール)でこの映画を見るまで、アルゴ星へ向かう宇宙船探検隊の冒険だと思っていた(^^;。いやはや、無知というのは恐ろしいものである。ただ、自己弁護するつもりはないが、ジェイソンもアルゴ船も日本ではほとんど無名なので、このタイトルは仕方がないというか悪くはないと思う。
 評判になったのはラストの骸骨戦士との戦いだが、私は青銅の巨人タロスが記憶に残った。巨大な像があり、あれが動き出したらすごいだろうなあと思っていたら、キギッと動き出したときは、おおやったぁと拍手喝采。もちろんCGなどない時代で、日本ではあいかわらずぬいぐるみ特撮全盛だったころの映画なので、ハリーハウゼンの「神業」には、本当に驚嘆した。
 女優のことも少々。王女メディアを演じたナンシー・コバック(彼女の初登場シーンでは拍手が起きた(^^;)は後に世界的な指揮者ズビン・メータと結婚した(生きていれば80歳くらいのはず)。女神ヘラを演じたオナー・ブラックマンは「ゴールドフィンガー」のボンドガール。ところで、映画のラストでは幸せに結ばれるジェイソン(ギリシア語読みではイアソン)と王女メディアのその後はどうなったのか?
 私は気になるのでエウリピデスの戯曲「メディア」(アルゴ船で帰ってからの物語)を読んでみたのだが、ナナナ何と、ここまでの大冒険物語はいったい何だったんだと唖然とするような結末。・・・この映画を愛する人は決して読んではいけない、とだけ書いておこう。
https://www.youtube.com/watch?v=RCoBg-aPJ5E

「大いなる」タイトル
 この雑文を書いていて、けっこう「大いなる」とつく邦題が多いことに気がついた。
 なんとなくスケール感、重厚感がでるので使われるのだろう。古いところ ではデッケンズ原作の「大いなる遺産(Great Expectations)」の映画化だが、これは同じタイトルなで問題はない。フランス映画の名作「大いなる幻影」は「La Grande Illusion」、フランス語は全くダメだが字面からして原題の邦訳と思われる。私にとっての「大いなる」はウイリアム・ワイラー監督の「大いなる西部」に尽きる。原題も「The Big Country」で、当たらずと言えども遠からず。ソウル・パスの手になる巻頭のシーンからブロンコキャニオンの決闘に至るラストまでまさしく「大いなる」傑作だった。
 しかし、「大いなる陰謀 Lions for Lambs(ヒツジのためのライオン←よくわからん(^^;)」、「大いなる野望 The Carpetbaggers(南北戦争後一攫千金を夢見て全財産をバッグにつめ南部に移住した人というような意味らしい。利益追求のためなら何でもする部外者とでもいう意味でもあるのだろうか?)、「大いなる決闘 THE LAST HARD MEN(最後の暴力的な男たち)」など、「大いなる」とは全く無関係の映画も多々あるのでご注意を。(なお、「三つ数えろ The Big Sleep」についてはすでに書いた)。
https://www.youtube.com/watch?v=JQ3JYb_PpJA

「荒野の決闘」
 日本人にはアメリカ西部というとどうも荒野というイメージがあるらしく、子どもころ読んだ山川惣治(「少年王者」「少年ケニア」)の絵物語、日本人の少年イサムがアメリカ西部で活躍する絵物語のタイトルも「荒野の少年」だった。というどうでもいい話はともかく、荒野でまず思い浮かぶのが「荒野の決闘」。先にも書いたO.K.牧場の決闘がクライマックスなので噓ではないのだが、原題は「My Darling Clementine 愛しのクレメンタイン(ヒロインの名前)」。これでは恋愛物のようなタイトルなので、いかにジョン・フォードの映画だろうが人は入らなかったはず。うまい邦題と言える。私が見たのはもちろんリバイバル上映で、確かwildさんと連れ立って見た記憶がある。「シェーン」との2本立てだったのだが、「シェーン」のおもしろさと比べて、「荒野の決闘」のほうは展開がぬるく思われたのを覚えている。後年作られたジョン・スタージェスの「O.K.牧場の決闘」と比べると映画全体での評価やワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダとバート・ランカスター)の比較では「荒野」に軍配、フォンだがなんともカッコイイ。決闘シーンは「O.K」に軍配が上がる(「荒野」はあまり決闘シーンに関心がなかったのだろうか。敵味方の位置関係などどうもよくわからない)。ところで、タイトルにもなった清楚な美人クレメンタインを演 じたキャシー・ダウンズ、この映画でしか見ていないが、その後どうなったんだろう?
https://www.youtube.com/watch?v=2WTaci5qIJ0

「荒野の用心棒」
 マカロニウエスタンを生み出したセルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド主演のヒット作であると同時に黒澤明監督の傑作「用心棒」のパクリ映画。パクリなので邦題には「用心棒」、そして「七人の侍」の西部劇版の邦題が「荒野の七人」だったので「荒野の用心棒」とつけているが、さすがにタイトルまでパクルのはと思ったのか原題というか英語タイトルは「A Fistful of Dollars(一握りのドル)」(イタリア映画なので原題は「Per un pugno di dollari」なのだが私には意味不明)。レオーネは「インスピレーションを受けた」だけのようなことを言っているが、これがパクリでなければ世の中からパクリというものはなくなってしまうゾ。
 その続編が「夕陽のガンマンFor a Few Dollars More(もう数ドルのために)」。まあ、クリント・イーストウッドは毎回同じようないでたちの賞金稼ぎで出てくるし監督は同じセルジオ・レオーネだからということでつけた原題だと思われる「続・夕陽のガンマン」の原題は「The Good, the Bad and the Ugly(いい奴、悪い奴、醜い奴)」。「夕陽のガンマン」の正・続は英語タイトルからもわかるように、イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフが 賞金稼ぎで出てくるというだけで、連続性はない。ではなぜそもそも「続・荒野の用心棒」ではなくて、「夕陽のガンマン」なんて意味不明のタイトルになってしまったのか(「荒野の用心棒」と「夕陽のガンマン」の英語タイトルには連続性があるが、邦題には全くない)。それは、セルジオ・コルブッチ監督、フランコ・ネロ主演の 「Djangoジャンゴ(主人公の名)」が、縁も縁もない「続・荒野の用心棒」なる邦題で先に公開されてしまったからである。パクリ映画の(邦題)タイトルがパクられてしまったわけで、間抜けな話ではある。
https://www.youtube.com/watch?v=gqvK80XGJkA

「荒野の七人」
 「荒野の用心棒」が出たついでに黒澤明監督「七人の侍」(英語タイトル「Seven Samurai」)の西部劇版の邦題「荒野の七人」についてもふれておこう。こちらの原題は「The Magnificent Seven」、偉大なる七人とでもいうようなこと(こちらは、正式にリメイクの話があり契約を交わしたらしい)。「七人の侍」と比べなければ、ジョン・スタージェス監督のこの映画は、娯楽西部劇として十分に楽しめる出来にあり、例によって三番館オーモン劇場で見た私は、満足して出てきた。
 続編の邦題は当然のように「続・荒野の七人」で、原題は「Return of the Seven帰ってきた七人」。第3作「新・荒野の七人 馬上の決闘」は原題「Guns of the Magnificent Seven偉大なる七人の拳銃」。第4作「荒野の七人・真昼の決闘」は原題「The Magnificent Seven Ride!(Rideは、馬に乗るという意味だが、昔、「アリゾナ決死隊」というテレビ西部劇の主題歌のラストで「ライドオン、ライドオン」と唱ってい た。さあ行くぞとか立ち上がるというような意味があるんだろうか?)」と続く。すべて「Magnificent Seven」と、連続性を強調している。といっても、もちろん黒澤「七人の侍」とは無関係。一応「続」までは話に多少の連続性はあるものの、連続出演はクリス役ユル・ブリナーだけ、マックイーンのやったヴィンは「ララミー牧場」のジェスことロバート・フラーに代わっている。これも第3作以降のクリスはジョージ・ケネディ、リー・バン・クリーフが演じており、「クリス」という主人公(「七人の侍」で志村喬が演じた勘兵衛)の名前だけがかろうじて共通となって残っているだけだ。さて、このシリーズあなたはどこまで見ましたか? 私は、「続」で早々に挫折しました。
 このシリーズに関しては、2016年になって「The Magnificent Seven」(監督アントワーン・フークア、主演デンゼル・ワシントン)というリメイクが、まんま「マグニフィセント・セブン」という邦題で公開されたので、ますますややこしいことになった。まあ、絵に描いたような駄作で、ラストのクレジットになって突如エルマー・バーンタイン作曲のおなじみのテーマ曲が流れたのになんとも苦笑させられた。
https://www.youtube.com/watch?v=YICxp8nUzKE

「戦争のはらわた」
 サム・ペキンパー監督作品としては可もなく不可もない作品。戦闘場面などリアリティがありなかなかの迫力なのだが、スプラッタ嫌いの私にはちょっとついていけないものがあった。原題はナチスの象徴とでもいうべき「Cross of Iron 鉄十字の勲章」。それがなんでこんなアホな邦題になってしまったのだろう。B級ホラーで「死霊のはらわた」という映画があるが、血飛沫が飛び散ったりするので、それにあやかろうとしたのだろうか。おかげで、ジェームズ・コバーンやマクシミリアン・シェルといった一流どころの俳優が出ているにもかかわらず、本作自体がB級映画のイメージになってしまった。それでも、そこそこはヒットしたのだろうか、確かペキンパーではない監督で続編が作られたはずだが、私は見ていない。
https://www.youtube.com/watch?v=XjRJaXdoC54

「死霊のはらわた」
 「はらわた」ついでにこの作品にもふれておこう。原題は「The Evil Dead」。後に「スパイダーマン」などを監督するサム・ライミの処女長編である。すでに何度も書いているように、スプラッタ嫌いの私は見ていない。ヒットしたようで、確か続編も作られ、最近リメイクもされているはず。もちろん、これらも見ていない。せっかくなので、邦題に「死霊」のつく映画とその原題を いくつか挙げておこう。「死霊の餌/南軍ゾンビの逆襲」は「The Curse of the Screaming Dead」、「死霊のえじき」は「Day of the Dead」、「新・死霊のえじき」は「Darkness」、「死霊のしたたり」は「RE-ANIMATOR」、「死霊のしたたり2」は「Bride of Re-Animator」、「死霊館」は「The Conjuring」など、いずれも原題と邦題との間に関係性はない。中でも傑作邦題というか、おいおいと言いたくなるのが「死霊の盆踊り」。原題は「Orgy of the Dead 死霊の大騒ぎ」なので多少は関連があるのだろうか。見ていないので何ともいえない。
 あと、「死霊」でネット検索していて見つけたのが「レイダース/失われたゾンビ」という映画。原題 「Raiders of the Living Dead」といい、まあどうせとんでもない駄作だろうと確信しつつも、ちょっと見てみたい気がするが、ハリソン・フォード、ダニエル・クレイグ(007)が出ているのでつい見てしまってえらいめにあった「カウボーイ & エイリアン」(原題も「Cowboys & Aliens」)の例もあるので、見ない方が無難なのかも。
https://www.youtube.com/watch?v=2qzLto9K_w8

「変態島」と「変態村」
 WOWOWで放送されていたので、タイトルに釣られてつい見てしまった(^^;、が、完全に時間の浪費、時間の無駄だった。
 「変態島」の原題はVinyan(ヴィン ヤンとでも読むのだろうか? 語感と映画の舞台からしてタイとかミャンマーなど東南アジアあたりの言葉なのだろうが私には意味不明)→wikiで調べてみ たら「魂、成仏できない霊、幽霊」とあった。「変態村」の原題はCalvaire (ラテン語っぽいが、こちらも意味不明。字面から多分、食肉とかの意味があるのだろう)→と、書いた後でこれもwikiを見たら「(キリストが磔にされた)ゴルゴタの丘」というラテン語なんだそうだ。大外れっ。どちらも、未知の島、村で猟奇的な事件が起こるのだが全然恐くなくて退屈するだけ。ちょっと狂信的な人物が出てこないわけではないが、とくに変態というほどでもない。単に監督がファブリス・ドゥ・ヴェルツという人物という共通点があるだけのこと。 制作年月日を見ると、「変態村」のほうが先なので、どういう経緯かは知らないが「変態村」というタイトルをつけ、後年制作された同じ監督の作品の舞台が今度は島だったので「変態島」としたのだろう。全くもって、観客を馬鹿にした態度だが、私のようにタイトルに釣られてついつい見てしまう馬鹿もいるから なぁ・・・。あと、見ていないのだが「変態男」という映画もあって、原題が「Ordinary普通、平凡」。いったいどういうことかと小1時間問い詰めたい。
http://matome.naver.jp/odai/2136775409560586901/2139366882874765003

「狼よさらば」
 すべてチャールズ・ブロンソン主演でタイトル(原題)を見ても明らかにシリーズ物なのに、なぜか邦題がばらばらで関連性がないという映画。1974年に作られた第1作「狼よさらば」の原題は「Death Wish」(直訳すると、死をのぞむ、ということだが映画の内容からすると、死にやがれっ!てな感じか)。妻子が暴行を受けて妻は死亡。ブロンソンが自らの手で犯人を処刑するというストーリーで、続編も似たパターン。続編はなぜか「ロサンゼルス」。まあ、ロスに移り住んできたから間違いではないのだが、原題は「Death Wish II」で監督も主役も同じなのだから、邦題をなぜ「狼よさらば2」にしなかったのか、不思議。第3作も監督、主役同じ。ブロンソンはニューヨークへ越してくるのだが、邦題は「ロサンゼルス2」ではなく「スーパー・マグナム」。原題は当然のように「Death Wish 3」。続く第4作の邦題は「バトルガンM‐16」。原題が「Death Wish 4: The Crackdown」。最終第5作は「狼よさらば 地獄のリベンジャー」で原題は「Death Wish V: The Face of Death」。確かこれがブロンソンの最後の映画だったと思うので、続編が作られることは絶対にないのだが、原題でははっきりシリーズと言っているのに、 なぜ毎回こんなに関連性のない邦題になったのか私には全く理解できない。
https://www.youtube.com/watch?v=_GieK_55uyY

「スターリングラード」
 確かに独ソの激戦が行われているスターリングラード(現・ヴォルゴグラード)が舞台で、巻頭、なかなかのスケールで戦闘場面が描かれる。が、そうした戦争映画を期待して見ていると、どんどんソ連のスナイパー(ジュード・ロウ)とドイツのスナイパー(エド・ハリス好演)の話になっていくので、あれれ・・・という感じになる。見終わって原題を確認すると「Enemy at the gate(門の所にいる敵)」、なるほどと納得するが、直訳じゃあ客は入らないだろうなあ。
 ところで、本作は2000年だったか2001年だったかの映画なのだが、2013年に「スターリングラード」という同名の映画が公開された。こちらは原題も「Stalingrad」。あとでもう一度触れるかもしれないが、似たようなタイトル、間違えやすいタイトルはやめてもらいたい。ましてや、同じタイトルで公開するなど、もってのほかである。
 わかりにくいといえば、「キング・コング」(1933年)に「キングコング」(1976年)に「キング・コング」(2005年)と「・」が消えたり復活したりと忙しいが、もちろん原題はすべて「King Kong」。ええい、ややこしいなあ。そういえば「ゴジラ対メカゴジラ」と「ゴジラvsメカゴジラ」というのもあったし、「遊星よりの物体X」と「遊星からの物体X」、「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」と「SF/ボディ・スナッ チャー」と「ボディ・スナッチャーズ」(付け加えておくとニコール・キッドマンの「インベージョン」も原作は同じフィニイの「盗まれた街」)もうええかげんにせんかい、と怒鳴りたくもなるというものである。
https://www.youtube.com/watch?v=NDS24Qn0wc4

「ピラミッド」
 ハワード・ホークス監督の1955年作品。ホークス作品としては「リオ・ブラボー」よりこっちのほうが好きだなあ。原題は「Land of The Pharaohsファラオ(エジプトの王)の国」。これでは内容が想像できないので邦題のほうがよい。クレジットを見ると、なんとあの文豪フォークナーが 原作(原案)というのだから驚く、というかホントかね。音楽ディミトリ・ティオムキン。国王にジャック・ホーキンス。とくに秀逸なのはラストで、巨大な石版がどんどんどんどん (淀川調)閉まってくるあたり、迫力ありましたねえ。けっこうな大作だ。はい、それを「ハムナプトラ」がラストシーンでパクってましたねえ。
 ただし、1980年にもチャール トン・ヘストン主演で「ビラミッド」という同じ邦題の映画が封切られている。こちらは退屈極まりない凡作で原題も「THE AWAKENING」なのだから毎度のことながら違うタイトルにするのが常識だと思うのだが、どうやら映画界では世間の常識は通用しないらしい。まあ、日本の国会と似たようなものか。
https://www.youtube.com/watch?v=MY44jLRfWKQ

ちょっといい邦題再び
 いちいち書いていると切りがないので、なるほどと感心した邦題をランダムに。
 「巴里祭」の原題は「Quatorze Juillet(7月14日)」。フランス革命のときのバスチーユを襲撃したいわば革命記念日なのだが、当局の介入を警戒して「祭」にしたのかもしれない。「望郷」も往年の名画だが原題は「Pepe Le Moko」。ジャン・ギャバン演ずるペペル・モコという人物の名前だ。味気ないねえ。ゴタールの「勝手にしやがれ」の原題は「À bout de souffle(息切れ)」。邦題がなかなか決まらずいらいらした誰かが「「勝手にしやがれ」と言ったそれがタイトルになったという都市伝説がある。
 「わが命つきるとも」はフレッド・ジンネマン監督、ロバート・ボルト(「アラビアのロレンス」など)脚本、原作の「ユートピア」で有名なトマス・モアを主人公 にした映画。原題は「A man for all seasons」は当時の映画雑誌では「四季の男」と訳されていたが、「偉大な才能をもつ人物」というような意味があると何かの雑誌で読んだが真偽のほどは不明。
 子どもの頃に見た「放射能X」の 原題は「THEM!(奴ら)」。放射能でアリが巨大化する話なので、うまい邦題だ。あのヒュロヒュロヒュロというアリの音(鳴き声?)は、今も耳に残っている。も一つ、ビリー・ワイルダーの「翼よ!あれが巴里の灯だ」の原題は「The Spirit of St. Louis(セントルイス魂号)」。大西洋横断に成功したリンドバーグの飛行機名でアメリカ人なら誰もが知っているわけだが、日本人には邦題のほうが内容がわかってありがたい。ただ、子どもの頃の私には「巴里」の字が読めなかった。
https://www.youtube.com/watch?v=zbZfh-5QsAw

「哀愁」と「悲愁」
 似ていて紛らわしい邦題である。
 「哀愁」の原題は「WATERLOO BRIDGE(ウォータールー橋)」。ヴヴイアン・リーとロバート・テイラーのすれ違いメロドラマで、菊田一夫の「君の名は」がこれの日本版リメイクであると言われている。一方、「悲愁」の原題は「Beloved Infidel(直訳すると、いとしき不貞?)」で、ヘンリー・キング監督、デボラ・カー、グレゴリー・ペックのお涙悲恋ドラマ。困ったことに、ビリー・ワ イルダー監督にも同名の「悲愁」という映画があるが、原題は「Fedra(ヒロインの名前)」。あの「ブラックサンデー」で逝っちゃってるテロリストの女性を演じたマルト・ケラーがヒロイン。いつまでも若いヒロインの謎は途中でわかってしまうが、ヘンリー・フォンダがヘンリー・フォンダとして出演していたりして、それなりに見応えのある映画だった。さすがワイルダー映画にクズはない。
 さらに、邦画にも鈴木清順監督の「悲愁物語」というのがあり、白木葉子がヒロイン。原田芳雄、岡田眞澄といっ たところが出ていたらしいが、私は見ていない。そういえば、舟木一夫主演の「哀愁の夜」という映画もあった。ま、映画会社にもいろいろ都合というものがあるのだろうが、少なくともリメイクでもない原題の違う映画に同じ邦題をつけることだけはやめてほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=5Xtg0cnXjT4
https://www.youtube.com/watch?v=KluwGtK6e-8
https://www.youtube.com/watch?v=MH_s2XkICAw

「ボーン」シリーズ
 最後に何の工夫もない馬鹿な英語カタカナタイトルの代表例を1つ。「マトリックス」シリーズなどでもそうだが、最近は原題をそのままカタカナにしただけの邦題が多い。その代表例として「ボーン」シリーズをあげておこう。最初、「ボーン」なので私は何か骨が関係するミステリかと思っていた。骨はboneで本作は人名でBourneなのだが、カタカナにされると区別はつかない。しかも、すべてが英語をカタカナにしただけのタイトルという工夫のなさ。第1作の「ボーン・アイデンティティーThe Bourne Identity」に始まり「ボーン・スプレマシーsupremacy」「ボーン・アルティメイタムultimatum」と続く。すべて意味がわかる人は そこそこ英語に通じている人だとおもう。ちなみに「アイデンティティー」(「主体性」「身元証明」)はともかくとしても、「スプレマシー」とは「支配権」「優位」、「アルティメイタム」とは「最後通告」「最終回答」(英語に弱い私は意味がわからず辞書をひいた(^^;)。ちなみにこの後「「ボーン・レガシー(遺産)」と いう作品が作られているが私は見ていない。
https://www.youtube.com/watch?v=cD-uQreIwEk

 というわけで、洋画の邦題忘備録はとりあえず今回でオシマイ。まさか、あなた、最後までつき合ってくれたの。ありがとね。また、いつかお会いしましょうね。さよなら、さよなら、さよなら。ニギニギ。
 ふう・・・疲れた。m(__)m
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