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1月期ドラマ総決算 [映画・文学・音楽]

 1月期ドラマもそろそろ終わり。総括としては、今期は不作でした。リアルタイムで見たものはなく、ほぼティーバーでの鑑賞。最近はどうもおもしろいドラマがないような気がする(と、もう何年も言っているような気がします(^^;)。歳のせいで新しいドラマについていけないだけなのかもしれないのだが、まあ、いわゆる「個人の感想です」。いずれにしても、ナンダカンダといいながらあれこれドラマを見ている老人はやっぱ生産性のない暇人なんでしょう?
※調子に乗ってつい書き過ぎちゃいました。単なる忘備録ですので、読んで得するものは何もありません。忙しい人はスルーしてください。(^^;
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★合格
「リバーサル・オーケストラ」
 1月期ドラマは、これ一択。門脇麦が演じる天才バイオリニスト谷岡初音がヒロイン。回を追うごとに各役者が本当に演奏しているように見え始めたのは俳優陣の努力だろう。とくに門脇の幼なじみのバイオリニスト永山絢斗君がいい味出している。名作「砂の器」の加藤剛など、どう見ても演奏しているようには見えなかったもんなあ。役者がいいとドラマは締まる。
 第4話で秘書が田中圭に人間関係を説明している途中でパッと場面が変わり自宅で初音の妹が楽団の人に秘書の説明引き継いで話しているシーンや、第7話で初音が永山との握手のためにさっと手袋を脱ぐシーンなど場面切り替えや役者の動作などよく考えられているとてもいい演出だ。
 ただ、シナリオの問題なのだが音楽で押していくのではなく、なんだかありきたりの恋愛とか政治家の勢力争いなどがが入って来て邪魔くさいのは減点で、ドラマをつまらなくしている。それと座席数1029で来客数1024なので満席ではなかった残念という話になってしまっているが、劇場側は何かあったときのために必ず数席は空けておくという話を以前音楽に詳しい友人に聞いたことがあるのだが。最終回もわざとのようなバタバタがあってめんどくさい。演目がチャイコフスキーの5番というのもマイナーな曲なのでどうなんだろう。ドヴォルザークの交響曲第8番第3楽章あたりならバイオリンの聞かせどころ(泣かせどころ)があってヒロインの輝きも増したと思うのだが。
https://www.youtube.com/watch?v=RLMe7WwVORI
(ドラマに使われている曲は、シベリウス「フィンランディア」、グリーク「ペールギュント」そしてドヴォルザーク「交響曲第9番新世界より」なので「ドボ8」なら繋がりも悪くないと思う)
 というような不満はあっても、お手軽安物ドラマばかりの中で、しっかり人数もそろえ、音楽会会場に人もいれてきちんとドラマを作ったことは(それほど視聴率はとれなかったようだが)評価されてよい。
以下蛇足。複数のオケがそれも異なる曲を演奏して優劣をつけるなんてまあ普通はあり得ない。ドラマだからと納得しても、観客はそれほどクラシックを聴いている人たちには見えないので、チャイ5よりポピュラーなベートーヴェンの3番「英雄」に投票するのではと思う。そのあたりシナリオにもうひと工夫欲しかった。
どうでもいいことなのだが、知り合いとこのドラマの話をしていたら、「オケなのにピアノがないですね」と言われた。知り合いは貧乏オケなのでピアノがないと思ったようなのだが、そもそもオケには普通ピアノは参加しないんだよ(ピアノ協奏曲などは別)。
蛇足の蛇足。これもどうでもいいことなんだけどこのドラマのライターは間違いなくテイタム・オニール主演の「がんばれ!ベアーズ」を参考にしてるね。野球のポンコツチームに出来る女の子と出来る監督が参加してメンバーもやる気になり勝てるチームになるという全体構造は全く同じ。しかも、「ベアーズ」全編を通して流される「カルメン序曲」をこのドラマでも第6話で演奏しているのだから、これはもう確信犯だろう。
「100万回言えばよかった」
 合格は1本だけと思っていたが、ドラマの最終回を見てギリ滑り込み。設定は映画「ゴースト」のパターン。このてのパクリパターンは映画のヒット以降続々と作られたので、またかと思ったが、井上真央、佐藤健、松山ケンイチという取り合わせに興味をもって見始めた。予想通り3人ともなかなかの好演なのだが、佐藤健はまあいつも通りのタケルくんとして、井上真央と松山ケンイチがとてもいい。2人がこんなにちゃんと演技ができる俳優とは、彼らの出ているドラマをほとんど見ていない私には、目から鱗。「オーケストラ」同様、役者がきちんと演技できているとドラマが絞まる。ただ、残念なことに話が冗漫。要するに、設定(ネタバレしないように書いている)からの話を引っ張り過ぎ。全10話ではなく6話くらいにすればいいのに・・・と思っていたら、ラストで思いもよらぬ展開。なぜそうなのかのわかりやすい合理的な説明がないため、ある恋愛評論家(そんな評論家がいるとは知らなかった)は最終回の展開にダメ出しをしていた。この評論家、恋愛には詳しいのかもしれないがドラマの文法は全然わかっていないねえ。第9話のラスト前にベッドに寝ている真央ちゃんがこんなことをつぶやいている。「毎朝、目が覚めるたびに思う。全部夢だったらいいのに」そして、目覚めると、という展開になっていることを思い出してほしい。要するに、最終回の出来事はすべて真央ちゃんの夢、目覚めるところから始まる夢と考えるのが自然。願望の夢の中なのだから、最終回は彼女が望んでいた方向にすべてが進んで行く。そして、健くんから「愛している」という言葉も聞けたのだ。夢オチなんて野暮な種明かしをしないのもいい。望んでいた言葉を聞けたのだから、真央ちゃんは目覚めてもきっと元気に残りの人生を生きていくだろう。私は、健くんが消えた後砂浜を1人歩いて行く真央ちゃんに思わず「がんばれよ」と声を掛けたくなったほどだ。途中ちょっとダレたが、この最終回だけで合格ラインに達した。やっぱり、物語のラストって大切なんだなあと思わせるとともに、人生はその一瞬一瞬が欠けがいのない大切なものなのだと教えてくれるドラマだった。

★ボーダー(途中で脱落or中抜け)
「Get Ready!」
 手塚治虫の傑作マンガ「ブラックジャック」的な話かと思いちょっと期待して第1話を見たら驚くほど現実感のない退屈なドラマだった。メンバーが蛍光仮面で登場してくる場面など、まんがとかアニメならあり得る設定だが、実写ドラマではリアリティを損なっていてアホらしくなってしまう。シナリオの段階で根本的な勘違いがあるのではないのか。「日曜劇場」は「JIN-仁-」「半沢直樹」「東京MER」など年寄りも見られるおもしろいドラマを放送してきたTBSの看板ドラマ枠なのだが、このところどうも見たいと思える作品がない。変に若者に迎合しないほうがいい。
「女神(テミス)の教室」
 法科大学院の学生と元裁判官教師(北川景子)の話だが、実務演習は学部のゼミでもドラマよりもっと突っ込んだことをやっている。なぜその条文があるのか何を想定しているのか議論の中で深く考えていくのなら法学だが、これでは道徳教室だ。ドラマでは数か月経っているはずなのに進歩が全く感じられないし、あれでは司法試験などおぼつかない。
(追記・最終回を見たが1年後の話になっているのにその雰囲気がまるでない。このドラマがダメなのはシナリオだけでなく、時間の経過を表せない演出がポンコツのせいも大いにあることがわかった)
 要するにリアリティがないのだ。さらに、後半は犯罪がからんできて違う話になってしまう。いったい何を描きたかったのか意味不明。あと、教授室だが半世紀以上前に私がゼミなどで知っている教授室より4倍以上広いけど、最近の教授室ってあんなに広いの?
「警视厅アウトサイダー」
 深刻な部分とコメディとかうまく混ざり合っていない。事件の裏に政治家とか警察上層部が関係しているなんて話はもう何十回とあったので、「またか」という感じがしてしまう。しかも、裏に隠された事件というのが女がらみのアホのようなもので、そんなことで(と言ったら問題があるかもしれないがドラマの整合性として)人が殺されたり殺されそうになったりする。それでは視聴者は消化不良のままで納得出来ない。西島、濱田、上白石、片岡、斉藤と役者をそろえたのに無駄遣いも甚だしい。
「忍者に結婚は難しい」
 映画「Mr.&Mrs. スミス」の忍者版。このての設定には飽きたし、ストーリーも平板。もともとが荒唐無稽の話なんだから、もうひと工夫もふた工夫もしないと、ドラマとして成立しないだろう。最終回はWBC準々決勝の裏になったため視聴率は2.8%と記録的惨敗。ただ、初回の7.0%が最高で前々回4.8%、前回3.5%と順調に視聴率を下げているので、私同様、つまらないと止めてしまった人が多かったのだろう。

★失格(第1回の冒頭だけ見て脱落)
「ハマる男に蹴りたい女」
「ブラッシュアップライフ」
「リエゾン」
★全く見ていない
「大病院占拠」「スタンドUPスタート」「星降る夜に」「夕暮れに、手をつなぐ」「罠の戦争」「今夜すきやきだよ」「6秒間の軌跡」「ダ・カーポしませんか?」「来世ではちゃんとします3」「しょうもない僕らの恋愛論」「アカイリンゴ」「ブルーバースデー」「相棒18」「「舞いあがれ!(朝ドラ)」「どうする家康(大河)」等々。
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リス太郎

ドラマ好きの妻に読ませます。
by リス太郎 (2023-03-19 01:18) 

アニマルボイス

読むと疲れますよ。(@_@;)
by アニマルボイス (2023-03-19 06:59) 

wildboar

「桜のような僕の恋人」、観ました。ほぼ文庫の内容と同じ展開だったのでホッとしました。でもやっぱり読んだ方が深いと思いました。
by wildboar (2023-03-19 20:34) 

アニマルボイス

病気のことを知らない彼氏が、もっとうまく写真がとれたときに見せるよと言った時の松本穂香の表情がとてもいい。この人、「この世界の片隅に」でヒロインやったとき、こんな昭和の顔の女優がいたんだと思ったのですが、ちょっとハーフかクォーターに見える時もある不思議な女優さんです。(^-^)
by アニマルボイス (2023-03-19 21:07) 

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