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「ベン・ハー」と「サウンド・オブ・ミュージック」 [映画・文学・音楽]

 先日のブログ「映画は、映画で評価しよう」で、
https://animalvoice.blog.ss-blog.jp/2019-11-11
 映画の価値が映画そのものではなく主に政治的な事象で語られることの馬鹿馬鹿しさについて書いたところ、wildboarさんから、
「『ベンハー』と『サウンド・オブ・ミュージック』は間違いなく名作だと思います」
 というコメントが届きました。全く同感です。どちらも映画史に残る傑作で、私も「迷走ダイアリ」に思いつくままの感想を書いています。このページにリンクを貼ってもいいのですが、そのリンクがいつ切れるかわからないような状態なのでいくつか誤字など直した本文を再度貼っておきましょう。元々の原稿は20年も前に書いたものです。
 ちなみにこの2作を含めて「私の」ベスト10は、「西部戦線異状なし」「駅馬車」「アラビアのロレンス」「スパルタカス」「七人の侍」あたりまでは不動として、あとは「第三の男」「太陽がいっぱい」「冒険者たち」「街の灯」「2001年宇宙の旅」「ブレードランナー」「ビッグウエンズデー」「ローマの休日」「シェーン」「野いちご」「アルジェの戦い」・・・あたりからその時の気分で適当にチョイスでしょうか。最近のものが入っていませんが、「これは!」という映画に出会えないのは、映画の質が落ちているのか、歳をとって感受性が鈍くなっているかのどちらかでしょう。
 近年のものでは「ボヘミアン・ラプソディー」や「ハドソン川の奇跡」など感心しましたが、ベスト10に入れるには何かが足りないような気もします。ベスト20なら入ってくるかな?
 上記2作以外だと個人的な好みも加味して「ウエストサイド物語」「大いなる西部」「ライアンの娘」「カサブランカ」「ジュリア」「ブラックサンデー」「めまい」「エイリアン」「キングコング(1933)」「007ロシアから愛をこめて」「マーキュリー・ライジング」「ナバロンの要塞」「ライアンの娘」「ダイハード」「突然炎の如く」「華氏451」「ワイルドバンチ」、邦画で「隠し砦の三悪人」「上意討ち」「砂の器」「ゆきゆきて神軍」「ゴジラ」、アニメで「不思議の国のアリス」「太陽の王子ホルスの大冒険」「ルパン三世カリオストロの城」あたりがベスト50くらいまで広げたときの候補でしょうか。
 あ、「スターウォーズ」「ロード・オブ・ザ・リング」「タイタニック」「ハリー・ポッター」「アナ雪」などはベスト100まで広げても入って来ませんのでご安心?ください。
(映画の価値は人それぞれですので他人の評価を否定するものではありません。あくまで私の感想ですが、その時々によって作品が入れ替わるという適当なものです(^^;)
ベンハー.jpg
★「ベン・ハー」(1959)について
 「ベン・ハー」は、ユダヤ人ジュダー・ベン・ハーとキリストの受難を重ね合わせたスペクタクル大作史劇で、最初見たときにはとてつもなく感動し、「世の中にこんな素晴らしい映画があったのか」とさえ思ったものだ。もちろん3時間40分の長編だが退屈するというようなことは全くない。この映画を初めて見たのは当時名古屋随一の洋画ロードショー館・テアトル名古屋の70mm大画面。二番館、三番館専門の私がこんな高級!映画館に入ったのも初めてなら、70mm映画をきちんと70mm用画面で見たのもこれが初め。階段状に並んだ椅子もすばらしく、大画面を前に上映前からわくわくしていたのを思い出す。
 どうでもいいことだが、購入したパンフレットには、撮影にはMGMカメラ65という機器が使われ映像部分の幅が65mm、6本トラックだったかの音声部分が5mmで計70mmとなるというようなことが書いてあった。その後、70mm映画追っかけ人間になったわけだが、スーパーパナビジョン70、ウルトラパナビジョン70、Todd-AO70、スーパーテクニラマ70などいろいろあってどうちがうのかは未だに不明(^^;。
 いわゆる「立体音響」というのもこれが初めてだった。すっかり感動した私は、その後「ベン・ハー」を、行きつけの洋画三番館・オーモン劇場、そして(劇場名は忘れてしまったが名宝会館内の70mm上映館のスカラ座だったのではないかと思う(^^;)再上映時と、都合3回も劇場で見た。
 後年、テレビ放映されたときには当時まだ高価だったVHSビデオデッキで前後編を録画したものの、実質3時間程度にカットされていたため、あのシーンがない、このシーンもないと不満ばかりが残った。そのためレーザーディスクが出ると2枚組10800円とこれまたいい値段だったがすぐに買い、ノートリミング盤が出るとまた買い求めた。さらにWOWOWやNHK-BS、CSのザ・シネマで放送されたものも見ているので、通しで見ただけでも10回以上見ているはずだ。WOWOWのものは画質もよかったので、DVD2枚組に録画してある。

 という前置きはともかくとして、「ベン・ハー」は実によくできている映画で、映画初心者からマニアまで満足させるという点でも代表的な歴史映画、いやそういった狭い範疇を超えた映画史上の金字塔と言える。アカデミー賞最多の11部門受賞は当然の結果で、この記録は「タイタニック」や「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」に並ばれてしまったが、1950年代末から60年代にかけての映画がまだ力をもっていた時代での大記録である。賞の数自体も今と比べると少ない。比べる方が失礼というものだろう。ちなみにこのときのアカデミー賞で唯一不満に思えるのはヒュー・グリフィス(戦車競走用のウマを所有しているアラブのおっさん)の助演男優賞で、これはどう考えても敵役を熱演したスティーブン・ボイドにあげるべきだったろう。オイルマネーの威力?まさかね。
 また話が逸れそうになったが、この映画の成功は監督ウイリアム・ワイラーの手腕に帰するところが大きいと思う。
 さすがに「ローマの休日」「必死の逃亡者」「大いなる西部」「コレクター」などの名監督である(「孔雀夫人」などそれ以前の作品にも名作が多いという話だが、私は見ていない)。
 たとえば、ベン・ハー(チャールトン・ヘストン。この映画でアカデミー主演男優賞を受賞した。納得)と許婚者エスターとのシーンには、バックに格子戸が繰り返し映し出されるが、こういう細かいところをきちんと撮れるかどうかが大画面映画にとってもやはり大切なのである。きちんと撮れているので、格子戸が傾きエスターのいないシーンが映し出されると、それだけでベン・ハーの孤独感が伝わってくるわけだ。
 ちなみに、エスターがベン・ハーと会うときは外付けの階段を降りてくるパターンになっていて、これは天使のイメージを連想させるためではないかと思う(ラストでは、これが逆になり、ベン・ハーが上階で彼の母妹とエスターが階段を上がってくるパターンになる。つまり、ベン・ハーも「復讐」という呪縛から開放されたことがわかる)。
 ベン・ハーの母親役を演じるマーサ・スコットは、「十戒」でヘストンがモーゼを演じた時も実の母親役をやっている。ワイラーは、こういう映画フアンをニヤリとさせるところまできちんと考えて作っているのだと思う。ちなみに、妹役の地味なキャシー・オドンネルは確かワイラーの兄さんのお嫁さんだったはず。

 有名な戦車競走のシーンについては何人もの人が書いているので今さら詳しくは書かないが、あれは集合合図がかかり、仇役のメッサラ(スティーブン・ボイド)の戦車が刃物をそなえたギリシャ戦車であることをきちんと観客に知らせ、ミクロス・ローザの勇壮な音楽と共に戦車が場内を一周し、というセレモニニーで盛り上げておいて、スタートとなるので効果的なのである。メッサラの馬が黒で、ベン・ハーの馬が白というのもどちらの馬がどこにいるのか子供でも一目でわかってよい。何周したかを魚のマークで知らせたり、一旦遅れたベン・ハーが追いついたりということろもきちんと描かれている(ちなみに私が読んだ原作の記憶では、ベン・ハーがメッサラの戦車の車輪に自分の戦車の車軸を突っ込んで破壊したはずである。もちろん、映画のような展開の方が遥かに自然である)。
 戦車競走のどでかい競技場にしろ、ローマへの凱旋シーンにしろ、初めの方に出てくるエルサレムの町へのローマ総督の入場シーンにしろ迫力満点なのは言うまでもない。あまりのスケールの大きさに声もないとは、こういう場面のことを言うのである。こんなに金をかけて大丈夫なんだろうか、と心配になるほどだが、こういうシーンに金をかけないと「スター・ウォーズ」(第1作、つまりエピソード4のことです)のラストのようにせっかく宇宙規模で戦われた戦争に勝利したのに記念式典がスーパー・ダイエーの入社式のようになってしまい、映画そのものをだいなしにしてしまうのである。
 ただし、一言言っておきたいのは、ただ巨大セットを作って出すだけではダメだということ。戦車競走のシーンをもう一度例にとれば、まず戦車の集合場所は背後に壁があり、前方には太い柱がある、という閉鎖された空間である。それが競技場に出て行って初めて空間が広がり、巨人像が映し出されて度胆を抜かれ、さらに競技場全体の俯瞰(後方にエルサレムの丘と空が広がる)が示されて「うわーっ、すげえ」ということになるのである。こういう見せ方に関してもワイラーは、手抜かりがない。
 海戦にしても、その前にガレー船の櫓の漕ぎ方や司令官アリアスとの関係などをきちんと描き、船の形や色、各々の服飾などもちゃんと整理されているので迷うことはない。戦闘の前に奴隷は鎖に繋がれるのだが、ベン・ハーだけは鎖をはずされる。そして櫓を漕ぐシーンに移るのだが、満身の力で漕ぐので漕ぎ終えた姿勢は自然と上を向くことになる。すると甲板から見下ろしているアリアスの姿が見える。彼が鎖をはずしてくれたんだとそれでわかるわけで、その後、ベン・ハーがアリアスを助けることにも納得がいくのである。

 もう一つ書いておくと、この映画の縦糸の一つに生命の源である「水」での癒しというものがある。癩病にかかって重病なベン・ハーの母妹が、十字架で流されたイエスの血が雨とともに大地に広がり完治するという奇跡がその典型だろう。砂漠でイエスから水をもらって生き延びたベン・ハーが、十字架に向かうイエスに水を差し出す感動的なシーンがあるが、あれも都合よく差し出すわけではない。イエスをもっと間近でと歩くベン・ハーが警備のローマ兵に、邪魔だとばかりに盾で強引に壁に押し付けられる。するとそこに水場があり、そうだ!と水を汲んで差し出すという過程がきちんと描かれている。決してご都合主義のシナリオではないのだ。
 エンド・マーク前に夕陽の十字架を背景に羊の群れが移動していく、まるで絵画のように美しいシーンが映し出されるが、これも「神は迷える子羊を導きたまう」とでも言うべきメッセージで、3時間40分という大作を締めくくるのにピッタリのシーンである。ラストはハレルヤコーラスと共に幕となるのだが、全編を彩るミクロス・ローザの音楽の素晴らしさについては、当時2000円もするMGMレコードを買って楽曲をすべて暗記したのだ、とだけここでは書いておく。

 そんなわけで「ベン・ハー」は、長い映画で登場人物も多いのだが、人物の描き分けもきちんとなされており、シナリオにも破綻するところがない。つまり、映画史上最大の作品の一つであると同時に、いい意味で非常にわかりやすい映画になっているのである。小学生は小学生なりに、マニアはマニアなりに楽しめ感動できる映画なのである。大画面で見るに越したことはないが家庭のテレビでも十分に感動でき、2度、3度と見る度に発見のある映画でもある。
 というようなことから、私は、「史劇映画を1本見たいのですが、どんな映画を見ればいいのでしょう?」という問いには、容易に答えられる。
「『ベン・ハー』を見なさい」[わーい(嬉しい顔)]

★「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)について
 「サウンド・オブ・ミュージック」は、高校時代に熱中した「ウエストサイド物語」のロバート・ワイズが監督したミュージカル映画だというので試写会の申し込みをしたら当選し、70mm上映館のテアトル名古屋に見に行き、けっこう満足して帰ってきた映画である。試写に先立って「この映画は皇太子御一家(当時)も見られた」云々という宣伝のあと映画は始まった。感動的な映画だったので、そのあと少し日にちをおいて、今度は家族(母、弟)で有料で見に行った。立て続けに2回見たわけだ。「ベン・ハー」「アラビアのロレンス」「スパルタカス」「2001年宇宙の旅」などもそうだったが、DVDもビデオなどない時代なのでこういうことが何度もあった。見られるときに見ておかないと、リバイバル上映でもない限りその映画は2度と見られないのだ。上映期間内に何度も足を運ぶことは当時としては不思議でもなんでもない。
 ロバート・ワイズはこの「サウンド・オブ・ミュージック」と「ウエストサイド物語」という映画史に残るミュージカル映画を2本も作っているのだが、ミュージカル映画監督というわけではない。「トロイのヘレン」は歴史劇、「私は死にたくない」はサスペンス、「砲艦サンパブロ」は戦争物、「アンドロメダ……」「ヒンデンブルグ」はディザスター、「スタートレック」は宇宙SF、「たたり」「オードリー・ローズ」はオカルトホラー。いったい何をしたかった人なのかさっぱりわからないが、結果として2本のミュージカル映画が残った。不思議な監督である。

 「サウンド・オブ・ミュージック」は一般にファミリー映画ということになっていて、「訳知り」顔の大人は軽んじる傾向がある。確かにファミリー映画の側面はあるが、しかし、ファミリー映画だから軽く見ていいという理由はどこにもない。音楽というものが、歌というものが人生にとってどれほど大切で、その人の生き方まで変えてしまう力があるものかをこれほどストレートに訴えている映画は他にないと言ってもいい。ということで、私はけっこうこの映画評価している。同じワイズの「ウエストサイド物語」も衝撃を受けて何度も見たが、歳をとっても感動して見られるという意味では「サウンド・オブ・ミュージック」のほうが1枚上だろう。
 この、音楽には人を社会を変える力があるということは、制作者は十二分にわかっているわけで、それは、歌う人の人数を考えればわかる。
 巻頭、マリア(ジュリー・アンドリュース)が一人で歌っていた「サウンド・オブ・ミュージック」は、後にトラップ家の子供たち全員の歌となる。トラップ大佐が子供たちと心を通じ合わせる場面で歌う「エーデルワイス」は、初め大佐一人で始まりやがて子供たちとの合唱になって親子の心が通い合う。さらにコンサート会場ではオーストリア国民全体の歌になるのである(テアトル名古屋では会場の大合唱が館内を包み込むようにステレオで流れたとき思わず震えがきた。これほど感動的な名場面は、そうはない)。修道院の院長がマリアに向かって歌う「すべての山に登れ」(マリアが大佐の家に戻る決意をする重要な場面の歌で、サウンドトラック盤LPにも収録されているこの歌が、ナント封切時カットされていたのだ。試写会のときには確かにあったという証言もあり映画誌では大問題になった)は、ラストシーンでトラップ家全員、いや映画を見ているすべての人に向かって歌われるのである。オスカー・ハマースタインの詞がまた絶品で、「・・・すべての山に登り、流れを渡り、虹を追ってあなたの夢をつかみなさい」と歌われると見ているこちらも「本当にそうだよなあ」と思ってしまう。ちなみに社会人になってから買ったレーザーディスクや現在売られているDVDには問題のカットシーンも復元されている。念のため。
 映画全体としては後半やや乱れがある(ナチスとのやりとりは合唱コンクールのシーンで実にうまく処理されているのだから、他の部分は2/3ほどでよい)のが残念だが、歌の力というか、映画の力は本当に実感させられる。

 画面構成としては、マリアが子供たちと家を出て、「ドレミの歌」を歌うシーンが何といっても圧巻である。「ウエストサイド物語」の冒頭や「クインテット」のシーンでもワイズのつなぎのうまさには感心させられるのだが、「サウンド・オブ・ミュージック」でも冒頭の空撮からマリアが歌い出すシーンへのつなぎなど見る者を思わず「ううむ」と唸らせるものがある。「ドレミの歌」は、そのワイズの編集能力が最高度に発揮されたシーンと言えよう。まるでオーストリアの観光案内のように美しい景色を背景にマリアと子供たちの歌を通して心がどんどん一つになっていく時間の経過が「ドレミの歌」という1曲の歌の初めから終わりまでの間にきちんと、それも実に魅力的に描かれているのである。映画50周年記念特番を見ると、このロケ地は今でも名所になっていてドレミの歌に登場する場所など同じ場所で同じ動作をする人が後を絶たないようである。それほど感銘を受けた人がいたということなのだろう。ついでに書いておくが、日本でも50周年記念吹替版というのが出ていて平原綾香がジュリー・アンドリュースの吹き替えをやっているのだが、せっかくのイメージが崩壊してしまうので、絶対に見ない(聞かない)ほうがいい(私はつい怖いもの見たさで見てしまった[がく~(落胆した顔)])。

 ちなみに主役のジュリー・アンドリュースは、舞台の「マイ・フェア・レディ」のイライザを演じた女優で、映画「メリー・ポピンズ」でアカデミー主演女優賞を取り、「ハワイ」「スター」「ビクター・ビクトリア」(「ティファニーので朝食を」「ピンク・パンサー」などの監督で、夫のブレーク・エドワーズ監督。ちなみにこの監督の映画がおもしろかったためしがない)等の映画に出ているが、何といっても「サウンド・オブ・ミュージック」におけるマリアが最高の当たり役だろう。封切られた年の「映画の友」「スクリ−ン」両誌のフアン投票で1位になったのも何となくわかるような気がする。ちなみに「サウンド・オブ・ミュージック」はこの年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など5部門を受賞しているが、なぜかジュリー・アンドリュースは主演女優賞を受賞していない(受賞したのは「ダーリング」のジュリー・クリスティ。私はこの映画も見ているが、作品も演技も記憶に残るようなものではなかった)。まさか「ジュリー」間違いでもないと思うので、ジュリー・アンドリュースは前年の「メリー・ポピンズ」で主演女優賞をとっているため2年連続での受賞はどうなんだろうという気持ちが投票者にはあったのだろう。しかし現在の時点で冷静に見れば2年連続で全く問題はなかったと思う。

 実際ミュージカルスターとしてのジュリー・アンドリュースの実力は歌はもちろん踊り、演技ともに大したもので、私は彼女が舞台で主演した「マイ・フェア・レディ」もオードリー・ヘプバーンではなくジュリー・アンドリュース主演で映画化してもらいたかったのだが(舞台版のLPレコードは買った。もしかして値が出ているかも?)、それは遂に幻に終わった。
 なお、ある映画評論家が、きれいになってからはオードリーに軍配が上がり、それ以前はジュリーに軍配が上がると書いていたが、至言である。ついでにもう一つ。「王様と私」のデボラ・カー、「ウエストサイド物語」のナタリー・ウッド、「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘプバーンの歌の吹き替えをやっているマーニ・ニクソンが修道女役で出ているので、興味のある人はお見逃しなく。吹き替えばかりやっている人なので、さぞかし不細工だろうと思っていたら、歳こそそれなりにとっていたものの、けっこう並以上の容姿の人でしたマル(見たけどわからなかったとい人のために書いておくと、修道院のシーン院長にマリアについての意見を求められたで3人の修道女が歌うシーンの真ん中の人です)。

 ところで、この映画、子どもが出てくるいわゆるファミリー映画というイメージがあるのか評論家の評価は意外に低いものがあった(確かキネマ旬報では9位)。なんとなくこういう映画を誉めるのは、気恥ずかしいというか抵抗があるのだろうか。しかし、観客は正直である。ラストシーンでトラップ一家がアルプスの山を越え、その姿が消えていってENDマ−クが出ると、試写会のときも二度目に見たときも、期せずして場内から割れんばかりの拍手が起こったのである。場末の映画館では東映のチャンバラ映画でもよくあることなのだが、こんなことはロードショーの劇場では、初めてにして今のところ最後の体験なので記しておきたい。もちろん、私も母も弟も拍手をした(^^)/。
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wildboar

今日は予定変更で、「アニマルボイスを読む会」に参加します。
by wildboar (2019-11-18 10:50) 

アニマルボイス

読んで何か得るところがあればいいのですが、今回も忘備録なので時間の浪費につながらないか心配です。(^^;
基本的に映画や読書の感想は「迷走ダイアリ」の更新ができなくなったためこちらにアップしているもので、私の覚え書きと考えてください。
by アニマルボイス (2019-11-18 11:15) 

wildboar

よく観ているし、よく書いていると感服です。
ベンハー
「世の中にこんな素晴らしい映画があったのか」とさえ思った→同感。
許婚者エスターとのシーンには、バックに格子戸が繰り返し映し出される→今でも脳裏に写っています。
ベン・ハーも「復讐」という呪縛から開放されたことがわかる→深く観ているねえ。
戦車競走のどでかい競技場にしろ、ローマへの凱旋シーンにしろ、初めの方に出てくるエルサレムの町へのローマ総督の入場シーンにしろ迫力満点なのは言うまでもない。あまりのスケールの大きさに声もない→圧倒の連続でもあります。
記念式典がスーパー・ダイエーの入社式のようになってしまい→比較が面白い。
彼が鎖をはずしてくれたんだとそれでわかるわけで、その後、ベン・ハーがアリアスを助けることにも納得がいくのである→そのとおりでした。
この映画の縦糸の一つに生命の源である「水」での癒しというものがある→やっぱりこの「芯」があるから素晴らしい。
映画史上最大の作品の一つであると同時に、いい意味で非常にわかりやすい映画になっている→老母にも大きな感動をプレゼントできました。

サウンド・オブ・ミュージック
音楽というものが、歌というものが人生にとってどれほど大切で、その人の生き方まで変えてしまう力があるものかをこれほどストレートに訴えている映画は他にない→72歳になった今でも口ぐさみますからねぇ(^^♪
「ドレミの歌」は、そのワイズの編集能力が最高度に発揮されたシーンと言えよう。まるでオーストリアの観光案内のように美しい景色を背景にマリアと子供たちの歌を通して心がどんどん一つになっていく時間の経過が「ドレミの歌」という1曲の歌の初めから終わりまでの間にきちんと、それも実に魅力的に描かれているのである
→ここのシーンですねー。
なんとなくこういう映画を誉めるのは、気恥ずかしいというか抵抗があるのだろうか→それは言えるかもしれない。
by wildboar (2019-11-18 13:57) 

アニマルボイス

wild様、ありがとうございます。
私からも一言。
「よく読んでくれてますねえ」感謝(^_-)-☆
by アニマルボイス (2019-11-18 15:34) 

JUNKO

ほとんど見ていますね。あの頃は映画しか愉しみがなかった時代でしたから。ベンハーは大学生の時だったかな。男子に誘われて二人で見ました。
by JUNKO (2019-11-18 16:38) 

アニマルボイス

「ベン・ハー」は、私やwildさんが中学生になったばかりのころの映画なので、多分、JUNKOさんが見られたのは所謂リバイバル上映のときですかね。それにしても、男女でとはうらやましい限り。(^_-)-☆
by アニマルボイス (2019-11-18 18:28) 

wildboar

あぁ、うらやましィー(*^-^*)
by wildboar (2019-11-18 19:04) 

アニマルボイス

こらこら、wildさんと「サウンド・オブ・ミュージック」の話はどうなんだっ!(▼▼メ)
by アニマルボイス (2019-11-18 20:18) 

リス太郎

読んでないけどナイス。
by リス太郎 (2019-11-19 14:07) 

アニマルボイス

niceは、訪問したよという記号ですから、広い心で「ありがとうございます」と言っておきましょう。(▼▼メ)
by アニマルボイス (2019-11-19 14:52) 

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