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今こそ「西部戦線異常なし」を見よう [日記・雑感]

西部戦線.jpg
 「西部戦線異常なし」の原作はレマルク。
 私は高校時代にこのルポルタージュ日記風の小説を読んだがあまり感心しなかった。が、映画はその一万倍もおもしろい傑作だった。見たのは名古屋の名宝会館内のスカラ座。あまりのすばらしさに映画が終わってもすぐには立ちたくない心境だった。この映画については、以前こんなことを書いている。

「(戦争映画があまり好きではない)私が唯一名作と認める戦争映画の例外中の例外がある。
 ルイス・マイルストン監督の『西部戦線異常なし』である。アカデミー賞をとったのは当然で、これは、戦争映画という枠組みを超えた「映画」として掛け値なしの名作である。未見の人は、レンタルビデオでもいいから、ぜひ見て欲しい。教師が演説している教室の場面をずっと引いていくと外では出征兵士を送り出すパレードが行われているとか、靴の主が銃弾に倒れて次々と変わっていくカット、ラスト、蝶を採ろうとした主人公が銃弾に倒れ十字架が並ぶ画面にオーバーラップしながらまだ生に未練があるように振り向きながら去って行くシーンなどは、おそらく映画史に残る名シーンだと思う。
 が、私が『西部戦線異常なし』は名作だ、と言うのはそういう(所謂反戦的)場面があるからというだけではない。実は、これほど迫力のある戦争シーンを他の映画で見たことがないのである。初めて見たのは名古屋のスカラ座という映画館でのリバイバル上映だったが、塹壕で待機していていよいよ敵が攻めてくる場面の迫力たるや思わず体に震えが来たほどである。それほど迫力があり、それほど(第一次世界大戦の映画なのに)現実感があるということなのだろう。二回にわたって行われる戦争シーンを見るだけでも映画の力というものを感じさせる、文句無しの名画である。逆に、生々しい戦争というものを映画が扱う場合、この『西部戦線異常なし』くらいの名作の域に達していないと現実の重みに負けて、映画が自立出来ないのだろうと思う。」

 そして、見終わった後には深い感動と言い知れぬ戦争に対する憎悪が残る。言うまでもなく戦争の最大の犠牲者は戦死者である。そして、死んだ者は何も語らない。だから生き残った為政者たちは再び威勢のいいことを声高に叫ぶ。この映画の冒頭、ドイツは今や危機的状況にある若者は今こそ銃をとれ、と叫ぶ教師のように。教室内は熱狂の嵐となり、ここで立ち上がらない者は臆病者、祖国に対する裏切り者だといった雰囲気の中、主人公も軍隊に志願するのだが・・・。

 久しぶりに見て、今という時代がまさに同じ閉塞状況の時代であることに気づかされる。
 威勢のいいことを叫べばそれがストレス解消になるわけだ。「集団的自衛権」「原発」「秘密保護法」威勢のいい叫び声ばかりが聞こえてくる。「集団的自衛権」にしても、国を守るのは当たり前だろう、という一言で終り。そこではなぜ今まで法制局は「集団的自衛権」は憲法に抵触するとしてきたのか、なぜこの時期に抵触しないと方向転換したのか、新たな法律を制定しないと国を守れないような状況にあるのか、などといった議論の深まりはほとんどなく、短絡的に、国を守るのは当たり前なのだからそれに反対する者は非国民と言われかねない状況だ。しかし、本当にこのまま推移していっていいのか。今こそこの時期にこの映画を見て考えてほしい。いや、この映画をみたら誰もが現在の日本の状況を考えざるを得ないと思う。

↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=0jN5i2fwv-M
↓全編
http://retrofilms.in/index.php?productID=241
↓淀川長治さんはこんなことを言っています。
http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/title/yodo0028.html

 もう1本今だから見てもらいたい映画ということになれば、「ローマの休日」「スパルタカス」の脚本家ダルトン・トランボが唯一監督した渾身の映画「ジョニーは戦場へ行った」だろう。これも劇場で見たが出てきて周りの景色に色があることにとても感動した記憶がある。この映画についても、かつてこんなことを書いている。

「『ジョニーは戦場へ行った』は1939年にトランボ自身が書いた小説。その後、第2次世界大戦や朝鮮戦争が起こるたびに発禁処分になった。まあこういう話を知るとアメリカも決して民主主義のモデル国で言論の自由が保障されているなんてことは幻想であることがわかるのだが、その自身の原作を1971年ベトナム戦争の最中に自身が監督(最初にして最後の監督)して映画化してしまったところに、『生きる』ということの意味を問い続けたトランボの気骨というか執念を感じざるを得ない。実際、私はこの映画を映画館で見たのだが、呆然としたまま見終わってすぐに席を立つ気になれなかった。映画館を出ると平日の昼間で、頭上には青空が広がり、すべてのものに色があるのがとても素晴らしいことのように感じられたものである(映画を見た人だけにわかるように書いている)。生きていることを実感させる、そして生きていることの意味を否応無しに問いかけてくる、とてもいい映画だ。『映画の力』とは、こういうものなのだろう」

↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=K7AFmXc0wK0

最後に墨子の「非攻」を引用しておこう。
http://www.geocities.jp/sei_taikou/bokushi_2.html
http://www42.tok2.com/home/yasuiyutaka/chinashisoushi/2bokushi.htm

★本日(12/10)より「秘密保護法」施行。すぐに思い出されるのがあの「沖縄密約」事件。政府、マスゴミは「倫理」の問題にすり替えて知らんぷり。アメリカの公文書館で密約の存在が発覚したにもかかかわらず、外務省は知らんぷり。追求されると文書の存在が確認できなかった。おいおいそんな重要な文書をなくすのかよと思うのが普通だが、政府の謝罪も当時の関係者が処分されたという話も全く聞かない。しかし、こうした密約も今後は秘密保護という名目で国民に知らせずに堂々と結べるわけだ。

★それにしても(安倍の子分が理事長になったNHKは論外として)例の「公平中立、公正の確保」の「要請」以来、テレビ局は腰が引けてるねえ。今回の無理矢理こじつけ解散の何が問題かもあきらかにせず「自民300を越える勢い」とかばかり伝えて、大政翼賛会マスゴミと化している。
 財政難と言っているくせに選挙には700億円近い金と人が使われるのに、これでいいのか。テレビでは安倍ヒットラーが、景気を後退させてはならない的なことを力説する自民党のCMばかりが目につくがこれでいいのか。GDPはマイナスだが本当に景気はよくなっているのか。暮らしは楽になっているのか。デフレ脱却を旗印にした円安誘導は大企業の輸出にはいいだろうが、少なくとも年金生活者にとっていいことは1つもない。財務相に至っては、この時期に儲けられない奴がアホだと断言する始末。
 しかし、現政府のマイナス面をテレビはほとんど伝えてくれない。政権党は現実に権力をもっているのだから報道が政府・与党に厳しくなるのは当たり前だと思うのだが、・・・。

★「現在迷走中」にKSさんからの「期日前投票」アップしました。秘密保護法といい集団的自衛権といい原発推進といい、嫌なことばかりですがそれでも投票は数少ない国民の権利ですから。管理人も期日前投票してきました。
http://tcn-catv.easymyweb.jp/member/tag1948/default.asp?c_id=22222
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