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よく出来た音楽映画「羊と鋼の森」 [映画・文学・音楽]

 今日2/17は久々に(東京では8年ぶり)にKSさんと会うために新宿まで出かけます。家で引き蘢ってばかりじゃいかんぞ、と連れ出す意味もあります。人が多く集まる場所ですのでマスクは必須ですね。
 その「コロナ」感染はますます拡大する一方。水際作戦が完璧なまでに失敗したこと、今や誰の目にも明らかです。だから憲法改正が必要なんだ、などと訳のわからないことを叫びだす自民党議員に至っては問題外のさらに外。こういうバカ共に支えられて噓つき放題、憲法・法律違反やり放題の安倍独裁政権というものが、無能の代名詞だった民主党政権以上に無能だったことがはっきりしてきました。
 こんなアホ状態で本当にオリンピックは開催できるんでしょうか。開催できたとして各国の選手は来てくれるのでしょうか。とりあえず3月1日の東京マラソンは中止にしたのかと思っていたら、やるんだそうです。国内感染がこれだけ広がっているのに、中国からの参加自粛を呼びかけた(しかし参加費は戻さない)から問題ないんだそうです。すごいですねえ、怖いですねえ、バカですねえ。


「羊と鋼の森」☆☆☆★

 最近は新刊本もあまりよんでいないのでこんな映画をあることも、宮下奈都という人の原作本が本屋大賞を受賞していたことも知らなかった。歳のせいもあってどんどん情弱になっていくなぁ、「老人力」が増大していくなぁと、しばし呆然(←噓です(^^;)。
 高校の外村が、体育館のグランドピアノを調律師が調律する姿に感動し、調律師養成学校で修行した後、楽器店に就職する。自信もなく慣れない外村も現場を踏んでいくうちに次第に一人前のピアノ調教師になっていく・・・というのが大ざっぱなストーリーなのだが、青年の単なる成長物語ではないことだけは言っておこう。

 私は音楽が全くダメな人間で、弾ける楽器は一つもない。小学校のとき全員がやらされたサカフォーンと縦笛が平均くらいにできるだけで、知らない人の前で演奏したら怒鳴りつけられるレベルである。もちろん、ピアノなど弾いたこともない。ピアノ調律師のことはN饗の指揮者だった岩城宏之の「オーケストラの職人たち」で読んだ知識くらいしかない。何を言いたいのかというと、音楽とはほぼ無縁の人間が見て楽しめるかどうかというところがこの映画のポイントだということだ。結論を先に書いてしまうと、音楽知識がなくてもそれなりに楽しめる映画だった。

 監督の橋本光二郎は確か「orange」というちょっとファンタジー的な映画を作った人だったと思う。その「orange」にも出ていた山﨑賢人がピアノ調律師を目指す主人公の外村直樹。楽器店の先輩調律師に鈴木亮平(「西郷どん」いい味出してるねえ)、光石研。調律の達人に三浦友和。ピアノを調律してもらう家の姉妹に上白石萌音、上白石萌歌という実際の姉妹。

 とくに演技に不満の残る俳優はいない。
 これだけでも、最近のアイドル出演映画の棒演技に辟易している私としてはホッとするところだ。まあ、細かいことを言えば山﨑賢人は優しい感じはするものの繊細な感じはしないのでピアノ調律師としてどうなのという気がしないわけではないのだが、台詞回しなども含めてそれほど欠点にはなっていない。上白石姉妹のピアノ演奏も上出来で、名作「砂の器」の加藤剛の演奏シーンにガックリきた私としては座布団の1枚、いや2人だから2枚贈りたいところだ。鈴木亮平や光石研もベテランの感じが伝わってくる演技で悪くない。
 ついでに書いておくと、儲け役と言ってしまえばそれまでだが、三浦友和いいねえ。この人、動きに切れがないので若いころのアクションは鈍重な感じがしてとても見られるものではなかったが、歳をとっておっさん役をやるようなって、ぐんとよくなった。今、頼れるおっさんをやらせたら、ピカイチではないだろうか。

 せっかく音を主題にした映画なのだから、台詞での説明は邪魔になるだけだ。橋本監督はそのあたりをわかっていて、普通なら言葉で説明するような場面も映像で押している。悪くない。とくに高校生の山崎がピアノを調律している三浦の姿を見つめるシーンなど秀逸で、三浦が鍵盤を指で押したときのポーンという音が心に響く。
 ただ、山崎が迷っている様子を彼が森の中を彷徨うシーンで、上白石姉がピアノを続けるかどうか苦しむところを水中シーンでモンタージュする手法は手垢まみれのパターン。もっとほかのシャレた表現方法はなかったのか。映像美に拘る監督らしく、北海道の自然の美しさをピアノの音にうまく乗せていただけに、安直なパターンが残念だった。

↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=g1O7i4jNJ6c
羊と鋼の森.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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